2024年 4月 20日 (土)

3Dプリンター日本人の開発だった!見向きもされなかった「埋没技術」米国メーカーが実用化

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   先月(2015年2月)名古屋で開かれた講演会のメインはノーベル賞受賞者の天野浩・名古屋大教授だったが、もう1人注目された人がいた。話題の3Dプリンターの発案者、小玉秀男さん(65)である。日本人の発想だったなんて知ってました? 小玉さんはここで同じミスを繰り返さないように」と訴えていた。

   名古屋の工業研究所の技術者だった35年前、印刷技術と光を当てると固まる技術の組み合わせで3Dプリンターの基礎技術を誕生させた。1980年に特許を出 願し海外に論文も書いた。学会で発表し展示会で作品を見せたが、「使い道が考えられない」と周囲の目は冷たかった。小玉さんは4年後、特許もあきらめ研究所を退職した。

   その後、アメリカのメーカーが莫大な資金を投じて小玉さんの技術を実用化した。2020年の市場規模は1兆円といわれる。いま弁理士をしている小玉さんは、「技術を理解する感性をもった人に当たらないとダメ」という。

羽根のない扇風機、電子書籍端末、喘息の吸入剤・・・「死の谷」から蘇って画期的製品

   技術力こそは日本の競争力の源だが、開発されても事業化されずに埋没している技術は多い。資金がなかったり企業が先を読めなかったりと理由はさまざまだが、技術者はこれを「死の谷」と呼ぶのだそうだ。

   3Dプリンターのように外国勢の手で蘇っている新技術がいくつもある。羽根のない扇風機、電子書籍端末、喘息の吸入剤・・・いまようやく埋没技術に目が向けられ始めている。

   富士通の神奈川・川崎市の倉庫にはそうしたサンプルが山積みだ。取得特許は10万件になる。権利維持だけで年間数十億円かかるが、半分近くが使われていない。そんななかにキーボード用の素材チタンアパタイトがあった。光を当てると殺菌、ウイルスを分解する。だが、15年間眠っていた。

   開発担当者は「企業としては100億円以上を目指す。事業規模、富士通の方向性と合わなかった」という。今年、技術の活用をねらって社内公開すると、予期せぬ反応があった。同じ川崎の中小企業からの引き合いだった。銀行のATMなどのタッチパネルシートにチタンアパタイトを使いたいというのだ。抗菌需要である。富士通はこの企業に技術を提供しライセンス料をとることになった。

   企業内で眠っていた技術のよみがえったケースもある。パナソニックは最先端技術の自立支援型介護ロボットを作っている。高齢者の筋力をアシストする技術は、2000年代に大型プラズマテレビの工場で使われていたロボットアームの技術だ。

   テレビは海外勢に押されて撤退し工場閉鎖でアームも埋没していたのを、社内横断的なプロジェクトが発掘した。部門別に動くことが多い大企業では「こうしたことがいっぱいある」と担当者はいう。介護ロボットは5年後の市場規模500億円といわれている。

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