2024年 3月 29日 (金)

「酢たまねぎ」に専門家は科学的根拠なし!すぐ化けの皮はがれる健康法ブーム

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   世は健康ブームを越えて積極的健康主義とでもいえるようなヒステリック状態にあるように、私には見える。少し前に「デブは出世できない」という風潮があった。自分の体重さえも管理できないヤツに仕事ができるわけはないというような理由からだったと思うが、いまは多少太っているほうが長生きするといわれるそうである。

   古くはサルノコシカケ、紅茶キノコなどが流行ったが、あっという間に消えた。今週も『週刊文春』が健康雑誌で特集を組んでいる「酢タマネギ健康法」ブームへクレームをつけている。これを提唱しているのは埼玉県にある南越谷健身会クリニックの周東寛院長という人物。酢タマネギがいいのは、それに含まれている硫化アリルとケルセチン、それに酢に含まれる酢酸が血圧から血糖値改善、ダイエットから白内障、認知症にまで効果があるというのである。

   それに対して、専門の医者たちはケルセチンには糖や脂質を減らす効果はあるが、タマネギに含まれているのはごくごく微量で、ケルセチンが身体にいいからといってタマネギを摂るといいに違いないというのは、エビデンス(科学的根拠)がないと批判している。周氏が反論しているが、週刊文春の求めに応じて出してきたデータはたった1例だけだった。

   私もタマネギは好きだし、スライスしてオカカをかけたり、ぶつ切りにしてカラシの代わりに納豆へ入れて毎日のように食べている。身体にいい野菜だとは思うが、タマネギ健康法の雑誌や本まで買って読もうとは思わないし、「酢タマネギで病気が治る」とタイトルを打つ出版社の良心を疑う。

   ダイエットもそうである。次から次へと怪しげなのが出てくる。少し前に流行ったのに「ビリーズブートキャンプ」というのがあった。あれほどハードなダンスや運動をすれば、誰だって痩せたりムキムキマンになるのは当たり前だと思うのだが、熱に浮かされている人たちはそれに気がつかなかったようだ。

「ライザップ」ハードすぎてトラブル続発!失神、ヘルニア、脳卒中・・・

   『週刊新潮』はテレビCMを1か月に558本も打っている「ライザップ」というトレーニングジムを取り上げ、このままでは「客とスタッフが危ない!」と特集を組んでいる。

   私も目にしたことはある。「2ヶ月で、このカラダ」。そうならなければ「全額返金保証」などと謳い、赤井英和や香取慎吾が広告塔になっている。「ライザップ」のCMがいかに多いかは、「アメリカンファミリー生命保険(アフラック)」が同期間で半分の279本だったことでわかる。

   ここを立ち上げたのは健康食品の通販を手がける「健康コーポレーション」という会社で、社長は37歳の瀬戸健という人物だ。2014年3月期の売上高は約239億円。それに対して広告宣伝費は約49億円、約20%にもなる。週刊新潮によれば、「ライザップ」の特徴はジムでのトレーニングと炭水化物の摂取を徹底的に排する低糖質食事法にあるという。

   入会金は5万円で、トレーニングを週2回、2か月で計16回行う最もポピュラーなコースでさえ29万8000円だそうだ。だが、マンツーマンで指導されるというから、トレーナーたちがプロフェッショナルなら、このくらいは仕方ないのかもしれない。

   現役店舗責任者は「現在、全体でトレーナーは800人ほどいますが、そのうち8割から9割はパートタイマーです。時給は基本的に900円となっていて、ゲスト(客)のトレーニング中は1400円にアップします」と語り、元トレーナーは「ライザップは短い研修で大勢の未経験者をトレーナーにしてしまっており、危険です。(中略)研修を担当している人が、『こんな短期間じゃ使える人材は育たない』とボヤいていましたよ」と話している。

   それに労働時間が長く、「中には(残業時間が=筆者注)100時間を超えている人さえいますよ」(現役店舗責任者)というから、「まさにブラック企業」(同)のようだ。

   食事制限については、調味料の糖質まで抜けという厳しいものだそうで、しかも短期間で激しい筋トレを行うから、「これはもはやボクシングの減量の世界で、『あしたのジョー』の力石徹を生み出しているようなもの」(秋津壽男・秋津医院院長)。それにトレーニングが終わってからも同じ食生活を維持できなければリバウンドしてしまうそうである。

   そのためかどうか、血圧が高くて降圧剤を飲んでいた客がトレーニング中に失神したり、ヘルニアになってしまった客がいたり、「去年の夏、品川店では、客がトレーニング中に脳卒中になるという『重大な事故』が起こりました」(元トレーナー)

   客がトレーナーの対応に怒って入会金を返せというと、「会則で(返金は)会社が承認した場合」と書かれていることを持ち出して渋ったそうだ。

   瀬戸社長は週刊新潮のインタビューに答えてはいるが、私が一番聞きたいトレーナーたちの研修時間の短さや技量アップ問題をどう考えるのかについては質問していないため、私には不満足なものであった。

   ここがインチキジムだとはいわない。これだけの食事制限とハードトレーニングをすれば、それなりの結果は当然であろう。それならボクシングジムへでも通ったほうが費用も安くて達成感もあるのではないか。所詮、カネで買った肉体はそうとう強固な意志がなければ維持できないはずだ。

   そんな無理をせず、おいしいものを食べて、新宿御苑や神宮外苑でも散歩していたほうが人生楽しいと思うが。少しくらい太っているほうが男も女も見場がいいと思うのだがね。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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