整体、カイロプラクティックで重症化・大ケガ増加!規制緩和で素人同然が開業

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   肩こりが治らないため整体の施術を受けたら、かえって深刻なダメージを受けたという人があとを絶たない。規制緩和によって手技療法の分野は急成長し、いまや1兆円市場規模に達している。

   ところが、この分野には、あん摩、指圧師、マッサージを名乗り肩こりや腰痛を治療することができる国家資格を持った人と、国家資格がなく誰でも開業ができる整体やカイロプラクティックなどの癒しの分野がある。法的な境目がいまいなこともあって、人体の知識も持たない施術者からサービスを受けたため、ケガをしたり重篤な症状に陥る被害者が続出している。

   国民生活センターによると、この5年間の被害は1000件以上にのぼる。2010年には199件だったが、12年に268件と急激に増加して以降は、13年232件、14年214件と毎年200件を超えるペースだ。

   あん摩や指圧師、マッサージの国家資格を持った人は、「肩こりに効果」などと言った効能を看板に表示することは禁止されているが、国家資格の必要がない整体やカイロプラクティック、リクラセーションは効能表示をしてはいけないという規制がなく、矛盾がある。

腰痛治療で脊髄損傷!回復の見込みなく退職

   50代の女性は近所にできたばかりの施術所で、長年悩まされている肩こりをほぐす施術を受けた。男性2人がかりで、ひとりは身体を押さえ、もう一人が肩から腕にかけて全身の体重をかけ押し続けた。激痛が走り、思わず「痛い。止めて下さい」と叫んだ。

   翌日、右腕が内出血を起こして紫色に変色していたため整形外科医に見てもらうと、強く押されたことで毛細血管が破裂したのだという。治るまで1か月もかかった。

   関西地方に住む60代の男性は長年、腰痛に悩まされ、3年前から近くの整骨院に通い始めた。ある日、腰痛に加えて右腕に痺れを感じ、整骨院に伝えると「首を治せば楽になる」と言われ、首を左右に急回転する施術を受けた。帰宅後、全身が激しい痛みに襲われた。

   整形外科医に見てもらったところ、「脊髄損傷」と診断され手術を受けたが、回復は困難と言われて仕事を辞めざるを得なくなった。以来、全身の痛みと痺れが取れないまま、少しでも痛みを紛らわそうと家の中を歩き回る日々が続いている。整形外科医によると、重くなった原因は患者が見逃していた病気かかわっているという。靭帯が骨のように固まり、脊髄を圧迫する高齢者が発症しやすい病気で、右腕の痺れはそのサインだった。整骨院のスタッフもその重大なサインを見逃し、首を急回転させたために症状が重くなったのだった。

取り締まり・指導の法律なく、危険な施術野放し

   国家資格のある整骨院でも被害が起きている。業界団体のJB日本接骨師会(柔道整復師センター)によると、柔道整復師は1990年代に3万人ほどだったのが、養成学校の設立条件の規制緩和をきっかけに急増し、現在6万3000人(施術所は4万5572か所)と倍増している。このため、国家資格を得て人体に関する知識を身につけても、実際には適切な判断ができない施術者が増えているという。

   どのような対策が取られているのか。鍼やマッサージなどを科学的に研究している明治国際医療大学の矢野忠特任教授はこう解説する。「国家資格が必要なものとそうでないもの、両方とも被害が起きていることは事実です。業界全体が倫理観も含めて質の高い安全ガイドラインによる指導をしていくことに尽きますね」「国家資格の必要がないところは、もともと危険性がないとみて許されたわけですが、実際には被害が起きています。取り締まりがありませんので、誇大なことをやる。このあたりは今後、検討していかなければいけないと考えています」

   規制緩和で粗製乱造し1兆円規模に達した市場だが、法的矛盾を抱えたまま放置し、教育による質の向上だけで被害が防げるのだろうか。人体の損傷に関するだけに法的規制を急ぐべきだと思う。

モンブラン

*NHKクローズアップ現代(2016年2月10日放送「『肩こり解消』で思わぬ被害!?~癒やしブームの陰で何が~」)
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