2024年 4月 19日 (金)

スペシャル 日本でのビジネスはなぜ難しいのか
(1)なぜ談合はなくならないのか

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事業配分の見返りが、「天下りポスト」

   官僚は事業を配分する見返りに、退職後「天下りポスト」を得ることが出来る。受注企業が役員や顧問といった楽で収入のいいポストを用意する。役人がどこまで昇進したのか、つまり最終ポストに応じて待遇が決まり、局長級になると個室・秘書・クルマ・交際費などがつく。天下りした役人が、今度は受注企業の営業担当となって役所との接点をなる。
   税金の無駄使いともいえる「高値発注」と見返りに、優雅な老後が保証され、民間は彼らを遇する費用を上乗せしてもなおあまりある利益を談合で得る。業者と官僚の「ウイン・ウイン・ゲーム」が談合である。
   しわ寄せは納税者だが、納税者の権利意識が弱いところに談合の温床がある。会計検査院公正取引委員会といった監視機関が貧弱であることも談合や高値受注に歯止めがかからない一因である。こうした組織は戦後の民主化で米国から輸入した仕組みだが、形はあっても日本に根付いていない。予算を配分し使う側の省庁が力関係に勝っているので、会計検査院のチェックは働いていない。公正取引委員会も「噛まない番犬」と呼ばれており、業界よりの経済産業省の事実上の配下に収まっている。
   談合が後をたたないので、04年に独禁法の罰を重くすることが検討されたが、日本経済団体連合会など財界団体のロビー活動で、罰則強化は中途半端なものに終わった。
   談合が摘発されても、担当者は裁判で執行猶予がつくことが多く、実刑を食らうことはほとんど無い。会社のために行った、という情状が酌量され個人の責任を希薄にしてしまう。企業は課徴金を取られる程度で、談合で得る利益の方がずっと大きい。社会全体が談合に寛容であることが、量刑に反映し、それが談合を日常化させている。

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