2024年 4月 25日 (木)

朝日新聞社説 「日銀総裁やめろ」

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   日本銀行の福井俊彦総裁が、村上ファンドへ1,000万円投資していた問題で、2006年6月21付けの新聞各紙が非常に厳しい論調の社説を掲載している。とりわけ、朝日新聞社説は、国民の厳しい視線を強調した上で、「総裁の椅子にとどまる適格性に疑いを持たれても仕方ない」と述べている。「辞めろ」といっているのに等しい表現だ。

06年6月21日の新聞各紙。日経以外は「福井批判」の大合唱
06年6月21日の新聞各紙。日経以外は「福井批判」の大合唱

   06年6月20日、福井総裁が村上ファンドに拠出した1,000万円の利益総額が、1,473万円に膨らんでいたことが明らかになった。これを受けて朝日新聞は社説を掲載した。
   まず、発覚した後の対応について
「たいした金額ではない、と国会で発言し、昨年末の資産状況については国会閉会まで発表を引き延ばしたことが大きな不信を買った」と分析。

「規律を軽んじていたとしか思えない」

   また、「辞任した方がよい」と考える人が49%、「辞任しなくてもよい」と考える人は13%しかない、という共同通信社の世論調査を基に、「国民の厳しい視線に想像力が及ばなかったのであれば、総裁の椅子にとどまる適格性に疑いを持たれても仕方ない」と言い切った。 さらに、福井総裁が職に留まる意向を見せているのに対し、「内規に反していなければ問題がないと言わんばかりの姿勢では、規律を軽んじていたとしか思えない」「(総裁にとどまることで)不信を増幅させるような事態が続くことはないか」と厳しく批判している。

   他紙の社説も軒並み厳しい。読売新聞の場合は、
「日銀総裁が、国民に低金利を強いる一方、自らはファンド投資で大きな利益を上げていた」のを問題視している。ただ、福井総裁はファンドでの利益や元本を慈善団体に寄付することを明らかにしている。これも「問題が発覚してからの言葉では、何ともしらじらしく聞こえる」と切り捨てている。

「あぜんとする利益だ」という毎日社説

   また、野党の辞任要求を拒否し、与党が総裁をかばったことで、日銀は政府・与党に借りを作ったとし、

「日銀が政治の意向に配慮しているとの見方が広がれば、株価や金利の動きに混乱を生じる恐れもある。海外の金融当局からも、日銀に対する信頼が失われかねない」。そして、「自らの不明が招いた事態の重さをかみしめるべきだ。手を尽くしても市場の不信感をぬぐえなければ、その時は、当然、福井総裁が自ら、進退を判断するべきだろう」 と結んだ。これも「辞任勧告に近い内容」とみてもそうおかしくない。

   毎日新聞の社説でも福井総裁が村上ファンドから得た利益についてこう主張する。 「あぜんとする利益だ。今年2月に解約手続きをとるまで福井総裁が放置してきたことは、いくら釈明しても、国民の理解はなかなか得られないだろう」    一連の行為が内規に抵触しないという総裁の説明に対しては、 「この説明にも納得がいかない。日銀自身が行員の心得でいさめている、世間からいささかなりとも疑念を抱かれること、が繰り返されてはならない」 と批判している。

日本経済新聞だけは、福井総裁「擁護」

   日本経済新聞だけは、福井総裁「擁護」の社説を掲げている。福井総裁が利益や保有株の情報を公開し、給与の減額、謝罪したことなどに対し、

「これまでの同総裁の対応よりは一歩踏み込んだ」

と評価した。村上ファンドから得た利益についても、

「巨額の利益を得ていたのは問題だという声もある。だが、ファンドへの拠出は元本割れのリスクが伴うことなども考えれば、そうした批判は必ずしも当を得ていない面がある」

と擁護。さらに、辞任を求める動きについて、

「総じていえば、野党のように、辞任に値する、と断じるほどの根拠は現時点ではないのではないか」

と福井総裁の辞任を論じるのはおかしい、という内容になっている。

   スポーツニッポンは、ほぼ1ページを使い福井総裁問題を特集。「金融の番人ボロ儲け」「我々一般庶民の運用ではたった28万円」という見出しが並んだ。
   国民の声も紹介した。「びっくりした。もうかれば何をしてもいいというのは日本本来の考え方とは違う」「腹が立つ。これでは世界の信用をなくす。辞任すべきだ」
   スポーツ紙は軒並み、「庶民感情」を持ち出して、「福井批判」を展開している。
   福井総裁は次第に追い詰められている。

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