2024年 5月 4日 (土)

景気先行きに数字で「黄信号」 消費と中小企業がさえない

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   総務省が2006年12月26日に発表した06年11月の完全失業率は、前月比0.1ポイント改善して3.99%となり、98年3月以来8年8カ月ぶりに4%を割り込んだ。しかし、一方で消費の伸び悩み、中小企業の景況感下落などを示す指標も出てきており、先行きの不安感は拭えない。

消費支出は11カ月連続の減少

   総務省の発表によると、男女共に完全失業者数は06年10月から0.1ポイント改善。前年同月比で33万人減り、259万人になった。企業の求人が活発化し、製造業や医療、福祉関連を中心に雇用者数が80万人増加した。景気の回復もあるが、団塊世代の退職を見据えた正社員採用も影響している。中日新聞は失業率改善について06年12月26日の夕刊で、「専門家の間では『来年半ばには3%台後半で定着する可能性が高い』(大手生保系アナリスト)との見方が大勢だ」と書いている。

   しかし不安材料も多く、楽観はできないようだ。

   総務省が06年12月26日に発表した06年11月の家計調査では、全国全世帯(農林漁家世帯を含む)の消費支出は、前年比実質0.7%減で、06年10月の同マイナス2.4%よりは改善しているものの11カ月連続の減少。実額は28万2,860円。名目では前年比0.3%減だった。雇用は拡大しているものの消費が伸びない原因には、給与格差拡大などの問題があり、特に中小企業の収益がなかなか上がらない、といった点が響いているようだ。

   しかも、中小企業の景況感が下がっている。商工組合中央金庫が06年12月26日に発表した06年12月の中小企業の景況調査では、景況判断指数は前月に比べて1.7ポイント低下し、景気が良くなる目安の50を2カ月ぶりに下回る49.1になった。07年1月の景況の見通しは48で、多くの企業が下げが続くと予測している。

北海道・東北、中国・四国、九州は苦しい

   読売新聞社が06年12月26日に発表した同新聞社の全国世論調査では、政府が公表してきた「景気の回復」への疑問すら現れている。景気回復の実感が「ない」と答えた人が「あまり」と「全く」を合わせると78%に。「ない」と答えた人は、2006年1月調査よりも4ポイント増加。「ない」と答えた人の地域別では、関東、近畿、中部で70%台だったが、北海道・東北、中国・四国、九州では80%台と地方ほど苦しいことが浮き彫りに。

   また、所得などの格差が「大きくなっている」と思う人は、「どちらかといえば」を合わせて74%だった。また、買い物などの支出は、1年前に比べて「抑えている」人が、「非常に」と「ある程度」を合わせて63%。現在の生活水準は、「中の中」が46%で、05年12月調査より6ポイント減少。「中の下」は33%で同6ポイント増え、「下」は7%で同2ポイント増加している。

   こうした状況を反映してか、日銀の福井総裁は、06年12月25日に日本経団連の評議員会で講演し、「景気拡大の基本的メカニズムは崩れていない」としながらも、個人消費や消費者物価などの面で弱めの指標が出ていることなどで、「景気拡大や物価の上昇が足踏みするリスクには目配りする必要がある」などとした。06年7月のゼロ金利解除に続く追加利上げについては、慎重に検討する考えを示している。

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