2024年 4月 29日 (月)

ライター個人に1億円訴訟 突然取り下げの不可解

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   ライターが雑誌に寄せたコメントに対して、企業が出版社ではなくてライター個人に対して損害賠償を求めて裁判を起こしたことが話題になっている。そんな中、同様の訴訟がもう1件起こっていることが分かった。しかも、訴えた企業が、突然訴訟を取り下げるなど、不可解な局面を迎えているのだ。

   06年12月に、音楽ランキングで有名な企業「オリコン」について、ライターの烏賀陽うがや弘道さんが雑誌に寄せたコメントに対して、オリコンが同氏に対して5,000万円の損害賠償を求めて訴訟を起こした。雑誌を発行した出版社ではなく、個人に対して訴訟が起こされるのは異例で、注目を浴びている。

自分で起こした訴訟を突然取り下げ

東理は「主張が認められた」として訴訟を取り下げた
東理は「主張が認められた」として訴訟を取り下げた

   「ライター個人に対する裁判」として注目されている裁判が、もうひとつ明らかになった。訴えられたのは、フリージャーナリストの山岡俊介さん。山岡さんは、00年12月から01年2月にかけて消費者金融大手「武富士」幹部に電話を盗聴されたり、05年7月には自宅に放火されるなど、さまざまな勢力との「対決歴」を持つ。一方の訴えた側は、東証2部上場の「東理ホールディングス」(東理)という会社で、ダイカスト(金型)関連事業を行うグループ会社の経営管理を行っている。

   山岡さんが運営するウェブサイト「ストレイ・ドッグ」では、東理が05年12月、当時ライブドアグループの関連企業だった「ダイナシティ」から不動産を購入したことについて、ライブドアに初めて強制捜査が入った06年1月17日に、こう報じた。

「ホリエモン側はこの東理ホールディングスの株をダミー会社を使ってかなり売り買いしていると見られ、そうした関係からビル売買話も出て来たようなのだ」

   これを受けて、2月14日に東理は、このようなプレスリリースを出して、ライブドアとの関連を否定した。

「上記の取引(編注: 不動産購入)以外株式会社ライブドア及びその関連会社との関係は一切ございません」

   その後も、山岡氏は関連記事を雑誌の別冊「別冊宝島Real」に掲載。その結果、東理は3月24日、記事の記述の多くは事実無根として、山岡さん個人に対して、総額1億円の損害賠償を求めて訴訟を起こした。烏賀陽さんのケース同様に、出版社ではなく、記事を書いた個人に対して訴訟を起こすことも異例だが、もっと不可解なことに、07年1月9日になって、東理が「審理においては、概ね当社及び福村(編注: 同社社長)の主張を認めていただき、所期の目的を達したものと判断した」として、この訴訟を取り下げてしまったのだ。裁判取り下げはほとんど、自分が不利になった場合だ。

東理の主張に「仰天した」と、憤りを隠さない

   東理の経営企画室では、J-CASTニュースに対して、こう話す。

「山岡氏個人に対して訴訟を起こしたのは、記事が最初に掲載されたのが山岡氏個人のウェブサイトだからです。本の内容も、ウェブの記事を元に構成されているため、訴訟では出版社の責任は問いませんでした」

   訴訟を取り下げた経緯について、プレスリリースとは少し違った角度からも説明する。

「山岡氏が、裁判中に『実はこれこれとも関係がある』などと訳のわからないことを言い出し、話がかみ合わなったので、訴訟を続けるのは時間と労力の無駄だと判断しました」

   一方の山岡さんだが、「ストレイ・ドッグ」をリニューアル・有料化したウェブサイト「アクセスジャーナル」で、同社のリリースについて、

「いったい、誰が『当社及び福村の主張を認めた』と言うのか?」

   と、「山岡さんが東理の主張を認めた」と読める文面に対して、「仰天した」と、憤りを隠さない。ただ、東理側は、J-CASTに対して、「認めた」の主語は「裁判官」だとしている。
   いずれにせよ、東理の主張は不可解で、フツーでは理解不能だ。
   山岡さんは、同サイトに、こうも書き、臨戦態勢のままだ。

「今後も同社並びに福村氏に関するスクープ情報を入手できれば報告するつもりだ」
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