2019年 9月 16日 (月)

バブルの象徴から世界の桧舞台に ザ・ウィンザーホテル洞爺

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   2008年に日本で開催される主要国首脳会議(サミット)の場所が、北海道洞爺湖町となった。その会場となるのは、かつて「バブルの象徴」として、負のイメージを持って全国に知られたことがある「ザ・ウィンザーホテル洞爺」だ。その後は「知る人ぞ知る」存在だったが、世界の桧舞台に突然の再登場となった。数奇な運命とはこのことか。

バブルだったから誕生した超豪華ホテル

08年にサミットが行われる「ザ・ウィンザーホテル洞爺」公式HP
08年にサミットが行われる「ザ・ウィンザーホテル洞爺」公式HP

   「ザ・ウィンザーホテル洞爺」がサミット会場に決まったのは07年4月23日。翌24日付けの新聞各紙が大きく取り上げた。特に朝日新聞は、「バブルの舞台に大役」として、同ホテルが自己破産から再建に向かうまでを取り上げた。さらに同記事には、サミット候補地に京都を推していた麻生外相が周囲に漏らしたという「いじわる」なコメントも掲載されている。

「バブルの象徴のようなホテル(での開催)はいかがなものか」

   このホテル前身は「エイペックスリゾート洞爺」という名だった。北海道の建設会社「カブトデコム」の子会社「エイペックス」が、1993年に総工費665億円もの巨額を投じて建設した。資金の大半を北海道拓殖銀行が融資した。
   だが、バブルがはじけて日本中が大不況に陥り、特に北海道では影響が深刻だった。ホテルのメインバンクだった拓銀は、日本中に大きな波紋を投げかけながら97年11月に破綻してしまった。これに連れられた形でエイペックスも98年3月に自己破産を申請するに至った。

   同ホテルは警備保障会社セコムのグループ会社が買い取り、その運営を「ザ・ウィンザー・ホテルズ インターナショナル」に任せた。この会社は、長崎のハウステンボス内のホテルの運営を受託していたことがある窪山哲雄氏が、97年1月に設立したホテル運営会社だ。窪山社長の下で再建がはかられ、02年6月に「ザ・ウィンザー・ホテル洞爺」の看板で経営が再開された。同氏は再開にこぎつけた後、ホテルをこう評した。

「この立地にこれだけ豪華なハード(ホテル施設)はバブルだからできたこと。もう二度と日本で作られることはない」(「日経ビジネス」02年6月3日号)

   「ザ・ウィンザーホテル洞爺」は、洞爺湖と噴火湾を見下ろす標高600メートルの小山にそびえる。重厚なエントランスや広々としたロビー、贅沢なスパ施設を併設している。ホテル内部だけではない。大自然の中に設計されたゴルフ場、乗馬やフィッシング、カヌーなど、多彩なアウトドアが満喫できる国内でも有数のリゾートホテルなのだ。

サービス徹底のため、客室稼働率を下げる

   自己破産申請から再建に導いた窪山社長は、数々の名門ホテルの現場で経験を積み、質の高いサービスを行うとして数々のエピソードがある「伝説のホテルマン」として知られている人物でもある。例えば、こんな具合だ。

「空き室があるのに予約を断る時、とても申し訳なく思う。心苦しくもある。ただ、ホテルのサービスの質を保つためには致し方ない。そう割り切るようにしている」(「日経ビジネス」03年6月30日号)

   「ザ・ウィンザーホテル洞爺」の総客室数は398で、ハイシーズンでも予約は300室を上限とし、稼動率は75%制限していたという。バブル期だったために「豪華に大きく」作られてしまったホテルを、サービスの質を保ちながら運営していくためには予約を断ってでも、という哲学なのだ。

「お客様はリゾートホテルに、いつもと違う空間を求め、夢を買いに来る。(予約が)300室を上回ると、従業員の目が行き届かないばかりか、やや小走りになり、慌しい感じになる。すると夢の世界から現実に引き戻されてしまう」(同記事)

   この哲学についてホテル業界の専門誌などを発行するオータパブリケイションズJ-CASTニュースがたずねると、こう答えた。

「稼働率をあえて抑えるというのは異例中の異例」

   07年3月30日にオープンした「東京ミッドタウン」(港区六本木)内の「ザ・リッツ・カールトン東京」も、オープンから1週間は混乱を避ける目的で稼働率を下げたり、宿泊客のみレストラン利用を制限したりしていた。しかし、オープンから1年以上経過した後も稼働率をあえて下げるということは聞いたことがないというのだ。

   「ザ・ウィンザーホテル洞爺」が会場に選ばれた最大の理由は、地理的な環境から警備が容易なことだが、窪山社長のこのサービスの質へのこだわりが、どん底状態のホテルを世界の桧舞台にした要因のひとつなのかもしれない。

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