2024年 4月 30日 (火)

IP通信網で相次ぐ障害 意外なもろさが露呈

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   電話網から、インターネットの技術を利用したIP(インターネット・プロトコル)通信網への移行が急速に進むさなか、IP網では相次ぐ障害の発生、障害の広域化、復旧までの時間の長期化など――意外な「もろさ」が浮き彫りになっている。IP網が電話網に代わる社会インフラになるには、安全性と信頼性の向上が欠かせない。

   2007年5月15日と5月23日には、NTTグループのIP網で被害件数が数百万件にのぼる大規模障害が発生した。総務省は5月24日、NTT東西とNTTエムイーの3社にネットワークの事故・障害対策を総点検するよう文書で行政指導した。

ルーター1台のトラブルがネットで短時間に波及

NTT東日本管内のルーターから障害が波及した
NTT東日本管内のルーターから障害が波及した

   5月15日の障害は、NTT東日本管内のルーター1台にトラブルが起き、これがネットワークであっという間に広がり、光IP電話「ひかり電話」やネット接続サービス「フレッツ」の計239万件が約7時間不通となった。また5月23日午前には、NTT東西間のIP網をつなぐ機器で不具合が生じ、「ひかり電話」の東西間の通話(計316万件)が不通となった。

   国内のIP電話利用者数は、04年3月末の527万6000件から、07年3月末には1433万1000件に増えた。一方で、通信網のトラブルの件数は04年度の20件から05年度70件、06年度80件と急増した。このうちには影響数が100万件を超え、復旧までに数10時間かかるものがあって、障害の「広域化」「長期化」が顕著だ。

   電話は100年以上の歴史を持つ技術で、NTTなどの電話会社が交換機の開発の主導権を握ってきたため、運営や復旧のノウハウが電話会社に蓄積されている。これに対してIP網を支えているルーターなどの機器は、電話会社以外のメーカー主導で開発され、技術は今も日々進化している。しかも、ソフトの比重が高く、「バグ(プログラムの不具合や誤り)」による事故の危険性が増しているにもかかわらず、機器の内部は、電話会社には手が出せない「ブラックボックス」の要素が多い。

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