2024年 5月 1日 (水)

IP通信網で相次ぐ障害 意外なもろさが露呈

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ネットは災害に強いはずだったが

   電話網の障害は、大地震などの大規模災害でも起きない限り、比較的小規模にとどまったのに対し、IP網の障害が広域化しやすいのは、ネットワークの構造の違いも大きい。

   電話網は基幹網から徐々に枝分かれして各世帯の電話機につながる「階層型」だが、IP網は各世帯のコンピューター同士が「くもの巣」のようにさまざまな経路でつながっているネットワークだ。

   電話網では、ある局舎の管内の電話線で生じたトラブルは、階層の上部への影響を簡単に遮断できるため、他の局舎の管内には影響を与えない。

   これに対し、クモの巣状のネットワークで情報をやり取りするIP網では、一つの機器の不具合がネットワーク上広範囲に短時間で波及する可能性がある。

   もっとも、これまでは、IP網のクモの巣状の構造は、ある経路で障害が起きても、迂回路で情報を届けられる「分散性」と「リダンダンシー(冗長性)」ゆえに、災害時にも強いとされていた。実際、阪神・淡路大震災時に、被災地と外部の情報伝達で活躍した。

   だが、5月15日の障害では、不具合の生じた場所を迂回させようとした際に、誤った情報が発信されたために引き起こされた。5月23日の障害では、一つの機器で情報を集中管理していて、バックアップ体制が十分機能していなかった。

   いずれも分散化の技術が未熟だったのが原因で、今後の改善の上で大きな教訓を残した。これらの教訓を活かしながら、分散化の利点を最大限に発揮できるような技術開発が求められている。

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