2024年 4月 26日 (金)

「アメとムチ」の放送法改正案 行方は参院選次第?

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持ち株会社設立認める「アメ」も含まれている

   同法案にはまた、放送業界への「ムチ」だけではなく、地上放送のデジタル化に向けて経営が厳しくなるローカル局などのために、放送メディアの寡占化を防ぐのが目的の「マスメディア集中排除原則」を緩和し、キー局とローカル局を傘下に収める持ち株会社の設立を認める――などの「アメ」も含まれている。

   このため、民放にも「改正案には、持ち株会社など、いいところもある。廃案にしたいとは言っていない」(在京キー局幹部)との声があった。

   これを見透かして総務省は「放送業界も一枚岩ではない」として、法案提出に踏み切ったのだ。

   さらに、菅総務相は国会での法案の趣旨説明で、再発防止計画の提出条項は(1)放送事業者がねつ造を自ら認めた場合にのみ適用する(2)放送界の第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)による再発防止の取り組みが機能している間は適用しない――との運用方針をとると明言した。これによって広瀬民放連会長から、「この運用方針が法案に明記されれば、改正案に反対しない」との考えまで引き出していた。

   ここまで放送界に攻め込んだ政府だが、参院自民党と、安倍晋三首相や菅総務相との間にある対放送業界への「強硬路線」への温度差に加え、松岡氏や年金問題など「想定外」の要因も降って沸き、時間切れとなってしまった。衆院を通して参院で成立しなければ廃案になるため、現時点では、衆院で採決をせず継続審議とする可能性が濃厚だ。

   法案は08年4月からの施行を想定していた。今国会での成立が見送られて臨時国会に先送りされた場合、法案の内容にも影響が出ないとは言い切れない。放送界は当然、修正を求めるだろう。ただし、そのためにはBPOが国民の目からみて機能しているという実績を積み上げる必要がある。

   それだけではない。放送業界に対する総務省の強硬姿勢は、安倍首相と近い菅総務相に支えられている面が大きいだけに、7月の参院選の結果も大きく影響してきそうだ。

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