2024年 5月 1日 (水)

枝川二郎の「マネーの虎」
公的資金を入れてでも銀行を救う理由

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提案 「時価会計制度を手直しすべきだ」

   そこで、将来に再び銀行は機能不全になるような事態を避けるために、以下のような政策を導入することを提案したい。

   まずは時価会計を手直しすることだ。時価会計とは資産価格を刻々と変化していく価格で評価しなおしていくこと。これはある面では正しいやり方だが、株式や不動産などの価格はその本質的価値とは無関係に市場のさまざまな要因で大きく変動することがあるから問題も少なくない。

   たとえば、ある日の日経平均株価が10%下がったからといって、日本の上場企業225社の価値が突然10%下がったわけではない。だから、資産価格を会計上決定するときは市場の要因による変動が過度に影響しないような基準をつくるべきだ。

   自己資本比率規制の強化も必要だ。現在の「自己資本比率8%以上」(=国際基準、国内基準は4%)という基準は平時には問題ないが、市場の大きな変動に対してあまりにも脆い。このところ自己資本比率が8%を超える欧米の銀行が次々におかしくなっていることがそれを示している。

   そこで、好景気で株式や不動産などの資産価格が上昇していく局面では、それに比例して自己資本比率のハードルが高くなるように基準を設定するべきではないか。そうすることで、景気循環を打ち消すような流れを後押しすることになると思う。

   この二つの政策を組み合わせることで銀行のバランスシートの「質」が改善し、銀行経営の安定、ひいては金融システムの安定に寄与するものと考える。それにより、将来われわれの税金を使われてしまう危険性も大きく減ると思うがいかがだろうか。


++ 枝川二郎プロフィール
枝川二郎(えだがわ じろう)国際金融アナリスト
大手外資系証券でアナリストとして勤務。米国ニューヨークで国際金融の最前線で活躍。金融・経済のみならず政治、外交、文化などにもアンテナを張り巡らせて、世界の動きをウォッチ。その鋭い分析力と情報収集力には定評がある。


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