2024年 5月 6日 (月)

大手メーカーで起きている  続々社長交代の「なぜ」

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   自動車、電機の大手メーカーが続々とトップ交代を進めている。2009年明けのトヨタ自動車、ホンダに続き、2~3月に入ると、ソニー、東芝、日立製作所が軒並み社長交代を発表し、その動きは「これまで見たことがないほど急激」(電機業界関係者)だ。08年秋以降の景気の冷え込みで、各社は一斉に大規模なリストラを進める一方、業績は急速に悪化しており、経営体制を早期に一新して改革を加速する必要性に迫られた結果といえる。

日立の社長交代は、業界関係者を驚かせた

   日立が3月半ばに発表した社長交代は、業界関係者を驚かせるものだった。古川一夫社長(62)が副会長に退き、4月から子会社の日立プラントテクノロジーと日立マクセルの両社会長を兼務する川村隆氏(69)が社長兼会長に就任するという人事だ。川村氏は日立本体の元副社長を務めた経験もあるうえ、現職の古川氏より7歳も年上。日立本体から一度は退き、子会社に飛んだベテランを再び呼び戻して社長に起用するという極めて異例のトップ交代となった。

   古川氏が「(川村氏への)権力集中でメリットを出してもらい、より強力な経営チームを作りたい」と語ったように、今回の人事は川村氏に権力を集めることで、構造改革を急ピッチで進めようという狙いがある。古川氏は情報通信システム畑出身であるのに対し、川村氏は中核事業の重電畑出身。日立社内では大きな影響力をもっているほか、子会社でも経験を積み、グループ経営にも知識豊富であることが起用の大きな要因となった。

ホンダも新社長に権限を集め新車開発を加速

   改革のスピードを高めるため、権限集中を図る動きは一連のトップ交代で目立っている。ソニーは中鉢良治社長(61)が4月に副会長に退き、ハワード・ストリンガー会長兼CEO(67)が社長を兼務する。主力のエレクトロニクス事業をストリンガー氏が直轄することで意思決定を速め、経営再建を急ぐ狙いとされる。ホンダも6月に新社長に就任する予定の伊東孝紳専務(55)は技術部門の本田技術研究所社長を兼務する。伊東氏に権限を集めて新車開発を加速させる構えだ。

   一方、トヨタは豊田章男副社長(52)が6月に社長に就く予定だが、創業家出身の社長は実に14年目ぶり。09年3月期連結決算でトヨタは4500億円の営業赤字に転落する見通しとなっている中、「トヨタグループの旗」(奥田碩相談役)である章男氏を掲げることで、「創業家の求心力で、サラリーマン社長にはできない大胆な改革を押し進めてもらいたい」(同社幹部)との思いが強い。

   底が見えない経済状態が続く中、それぞれのトップがいかに手腕を発揮できるか。日本経済をけん引してきた自動車や電機など輸出産業の底力も試されようとしている。

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