2019年 1月 16日 (水)

編集長からの手紙
「ネットにも地方分権を!」 J-CASTニュース3周年で志向する

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   J-CASTニュースは2009年7月27日で3周年を迎えた。この1年で読者数(ユニークユーザー)、ページビュー(PV)は、お陰様で約3割増えた。4年目は記事の増強・拡張、携帯サイトの新しい企画、「ニュースショップ」(J-CASTの商標登録)の開設などを計画しているが、長年の夢であった「ネットの地方分権」にも取り組むことにした。

   政治、行政の世界で地方分権は改革の焦点となっている。中央・霞ヶ関の権限の一部を地方に移すというのだが、そんなときに「ネットの地方分権」を考えたのは、ネットコンテンツの地域格差是正が地域経済の復権に貢献できると思うからだ。

   デジタルデバイド(情報格差)の対策として挙げられているのは、ブロードバンド化などネット利用環境の整備、年長者のパソコン利用教育などで、情報の中身に関する視点はあまり見当たらない。

   インターネットの特性のひとつは国境のないグローバルな情報網である点だ。国籍、民族、言語を問わず、個人もマスコミも対等に情報を発信できるフラットな世界である。言論は自由で、商売に利用することにもさしたる制限はない。では、本当に自由で平等かと言うと、そうではない。むしろ、弱肉強食の世界でもある。

   地方の小さな商店が、ネット活用のアイディアの優位性や商品自体の魅力によってネットビジネスで成功した例は少なくない。しかし、大半の商店や商品はネットの中で埋没して、弱者となっている。世界との競争には勝てないからだ。昔は、「町では一番」「近所では親しまれている」という利点で商売が出来た、ネットはそんな世界ではない。

   世界と競争できる人はそれでよい。でも、そうではない人たちにもネットはチャンスを分けることが出来ないか。そのために、ネットにも地域の境界線を引いて分権が考えられないか。それが「ネットの地方分権」の発想だ。地産地消、コミュニティの復権にも繋がる。

   J-CASTニュースはこのほど、「コアラのマーチの天気予報」の掲載を始めた。読者のアクセスした地域を都道府県別に自動判別して、その地域の天気予報を表示している。アクセスポイントごとに利用者に付与されるIPアドレスと利用者の地域を対照するデータベースを利用している。個人は認識せず、個人情報に触れない配慮をしている。

   この技術はJ-CASTが1998年に出願した特許で、すでに企業サイトの地域ごとのサービスや、地域限定の広告などに利用されている。

   新聞に地方版があり、テレビには地方局がある。チラシや看板は近隣を対照とした情報メディアだ。同様な機能をインターネットに付与できないかと考えた。

   古典的な集団の分類に「ゲマインシャフト」(利害目的の集団)と「ゲゼルシャフト」(自然発生的に出来た共同社会)という概念がある。インターネットは利害目的には大変有効なメディアだ。それを、共同社会、コミュニティに利益をもたらすように活用する。検索エンジンの表示順位に、もし、近隣という概念が加わるとどうなるか。新聞折込みチラシや地方紙の地域広告がWebサイトで優先的に表示されたら地域の商業にチャンスが生まれないか。近隣で予選を戦い、全国から世界へ出て行く。そういうインターネットの発想があってもいいではないか。

   J-CASTサイトだけでなく、広くインターネットの世界で活用できるようにする。夢かもしれないが、やってみよう。

J-CASTニュース 発行人 蜷川真夫

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