2024年 4月 26日 (金)

アイフル私的整理へ 過払い金猶予の「お願い」通じず

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   消費者金融大手のアイフルが、私的整理の手続きに入る。債務総額は3000億円前後。経営再建に向けて住友信託銀行とあおぞら銀行などの銀行団に対して、債務の返済猶予などを求めていく。改正貸金業法への対応や過払い利息の返還請求の急増で収益が悪化、資金繰りに行き詰まった。

事業再生ADR、法的整理の一歩手前

   アイフルは、私的整理の手法の一つである「事業再生ADR」(裁判外紛争解決)を活用した経営再建に踏み切る。同社によると、「現在、事業再生計画を協議中で仮受理の段階。連休明けにも正式に決まる」(広報部)と話す。再建計画は店舗や人員削減を柱とし、事業を縮小する模様だ。

   一方、住友信託やあおぞら銀行など銀行団には返済猶予を求める。一定期間、債務残高を維持してもらい、さらに返済期限を延長してもらう。ただ、債務免除や貸出債権の一部を株式に振り替える「デット・エクイティ・スワップ」には踏み込まない。 事業再生ADRの実施には、債権を有するすべての銀行の同意が必要なので、慎重に協議を進める。

   こうした事態まで追い詰められた原因についてアイフルは、改正貸金業法の施行で貸出金利の引き下げを余儀なくされたこと、それに伴い貸出審査を厳正化したことで利用者が離れ営業収入が減ったこと、過払い利息の返還請求が相次いだことをあげた。

   なかでも、過払い利息の返還請求は「高水準で推移したことが響いている。このまま続くようだと法的整理を選択せざるを得ない状況にまで追い詰められてしまう。それは避けたかった」と説明する。

   営業収入が減ったうえに、過払い利息の返還という「支払い」が急激に増えたことで一気に財務状況が悪化。さらに格付けの引き下げで、資金の直接調達にも支障を来たすことになり、「負」の悪循環に陥った。

銀行の「後ろ盾」がないと苦しい

「過払い元金を50%にしてもらえないですか」
「100%お支払いしてもかまいませんが、5年間の分割払いにできないですか」――。

アイフルはこの夏、こんな「お願い」を、過払い訴訟を手がける弁護士や司法書士の事務所に出向いては頭を下げていた。

   ある司法書士は、「かなりマズイな、と思った」と明かすが、実際に銀行融資が止まり、このままいくつもの過払い訴訟を続けることはできない状況になりつつあった。

   アイフルの過払い金の支払額は、09年3月期では消費者金融大手4社の中で一番少ない550億円だった。今期は1634億円の引当金を取り崩して対応するとみられていたが、業界内では「それでも不足する」(消費者金融の関係者)とみていた。

   アイフルは「お願い行脚」で過払い利息の返還を先送りし、他社に比べて支払金額を抑え、資金繰りを調整していたようだ。

   いま、消費者金融業者の資金繰りを支えるのは、メーンバンクしかない。過払い利息の返還請求に苦しんでいるのはアイフルだけでなく、「高止まりしていて、どの消費者金融も似たり寄ったりの状況にある」(業界関係者)という。

   そうなると、三菱UFJ系のアコムや、三井住友系のプロミス、新生銀行グループのレイクのように、銀行の「後ろ盾」があるところは心強い。半面、武富士はつらいところだ。

   アイフルの余波で、武富士の2009年9月18日の株価は前日比44円安の420円。「銀行系」のアコムやプロミスよりも、下げ幅は大きかった。

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