2024年 4月 28日 (日)

「流出アイフォーン」記者を家宅捜索 ブロガーはジャーナリストと認められるか

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   米オンラインメディア「ギズモード」が、バーに落ちていたという「次世代アイフォーン(iPhone)」を拾った人物から購入して記事にした一件は、警察が動き出す事態になった。記事を執筆した記者が、不在中に自宅の家宅捜索を受けたのだ。

   ギズモードは、令状が、ジャーナリストを保護する米国法やカリフォルニア州の法に反しているのではないかと反論。しかし同時に州法によると、盗品を購入・使用した場合は窃盗罪となる可能性がある。さらに警察側は、記事を執筆した記者を「ブロガー」として、ジャーナリスト保護法の適用外と考えた可能性もある。

「ジャーナリストの所有物押収は違法」

新型アイフォーンの騒動はまだ続く
新型アイフォーンの騒動はまだ続く

   米ギズモードは2010年4月19日(米国時間、以下同)、「次世代アイフォーン」の記事を掲載した。カリフォルニア州にあるバーで落ちていた試作品を、ある人物が拾ってギズモード編集部に持ち込み、これを5000ドルで買ったものだという。記事の中で、ジェイソン・チャン記者が新型機を詳しく解説していた。

   チャン記者は4月23日夜、カリフォルニア州の「コンピューター緊急合同捜査チーム」(REACT)の家宅捜索を受けた。カリフォルニア州サンマテオ郡高等裁判所が発行した捜索・差し押さえの令状にもとづいたもので、チャン記者の自宅にあるコンピューター4台とサーバー2台を押収したという。

   ギズモードはウェブサイト上に、令状のコピーや押収された物品リストを掲載。同時に、ギズモードの運営会社である「ゴーカー・メディア」(Gawker Media)のゲービー・ダービーシア最高執行責任者(COO)名で警察側に送付した書簡も公開した。ダービーシア氏は、米国法および州法では、ジャーナリストの所有物を押収するための令状発行は有効でないと指摘。

   そのうえで「カリフォルニア州刑法1524条(g)項」に触れ、証拠法1070条が定める報道機関が所有するいかなるものにも、捜索や差し押さえの令状は発行されないと説明している。さらに「カリフォルニア州控訴裁判所の判例をみると、この法律はオンラインジャーナリストも適用の範囲となっている」と強調した。

捜査当局はジャーナリストと見なかった?

   「家宅捜索」については米主要メディアも報じた。ニューヨークタイムズ電子版は4月26日付の記事で、「次世代アイフォーン」の試作機が盗品だった場合、ゴーカー・メディアは法的トラブルに巻き込まれる恐れがあると当初から言われていたと指摘。また捜査関係者の話として、試作機を売り渡した人物や購入した人物は罪を問われるかもしれないとした。

   ロサンゼルスタイムズ電子版は27日付の記事で、カリフォルニア州新聞出版協会のコメントを紹介。令状が発行されたのは、当局側が、チェン記者はジャーナリストかどうかについて「別の意見」を持っていたか、単に「シールド法」(記者に情報源の秘匿を認める法律)を無視して刑法を適用したかもしれないとしている。つまり、ギズモードをブログメディアと分類し、チェン記者もブロガーで、ジャーナリストと見なさなかった可能性がある。

   ゴーカー・メディア創業者のニック・デントン氏は27日、ツイッターに「ブロガーがジャーナリストと見られるかどうか、今後わかるだろう」と投稿。捜査の方向性が、今後ブロガーの権利をどこまで認めるかにも影響してくるかもしれない。

   一方、試作機を拾った人物は謎のままだ。実は新型アイフォーンは、ギズモードの競合サイト「エンガジェット」にも「売り込み」があったようだ。実際、エンガジェットは17日付の記事で「これはアイフォーン4G(もしくはアイフォーンHD)か」として、試作品と思われる写真を掲載している。ただし、編集部で試作機を入手したのではなく、写真も提供されたもののようだ。だがギズモードもエンガジェットも、「情報提供者」について詳しく触れていない。現状ではこの人物が試作機を盗んだ可能性も否定できず、今後の展開によっては騒動がさらに拡大しそうだ。

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