2024年 5月 4日 (土)

高橋洋一の民主党ウォッチ
量的緩和なぜやらない 日銀の「本業」とは何か

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量的緩和はマクロ経済効果がない。が日本の定説

   そして、今では、量的緩和はマクロ経済効果がないというのが、日本での定説だ。それは、日本銀行の白川総裁が公言しており、日本のほとんどの経済学者はそれを受け入れているかのようだ。そして、ほとんどの金融関係者は、「日銀は一生懸命金融緩和したのにデフレは脱却できなかったのだから、量的緩和は効果がない。他の構造問題に取り組むべきだ」という。

   この意見は本当か。イングブス総裁が言及していた米、英、そして日本を加えてデータを見てみよう。リーマンショックのような世界に同じショックがあると、あたかも社会実験のような環境ができ、各国の政策対応の差が経済パフォーマンスの差になるので、政策効果が計測できる。データを見ると、量的緩和をやらない日本の物価(予想)の戻りは各国より遅い。この事実から、各国の量的緩和の効果が計量的にわかる。技術上の話を省くが、ほぼ同額比較のイメージで、日銀は10兆円拡大で0.15%、米国のFRBは1000億ドル拡大で0.09%、英国のイングランド銀行は1000億ポンド拡大で0.5%、それぞれ物価(予想)を押し上げることができる計算になる。

   さすがノーベル賞のスポンサーになる中央銀行の総裁の言うことは違う。一方、日銀は量的緩和という本業をやらずに、経済成長を促すための新貸出制度と称して政策金融のまねごとをやって、国民の目をそらそうとしているのではないか。それに騙されるマスコミも情けない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。現嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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