2019年 1月 18日 (金)

「ユーロ危機」折見 世記氏に聞く
ギリシャ、スペイン、ポルトガル… 欧州財政危機「第二のリーマン」か?

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   ニューヨークやロンドン、上海、そして東京と世界中の株式市場が混乱している。外国為替市場でも欧州連合(EU)の統一通貨「ユーロ」が急落。米ドルも連れて下落し、押し出されるように円が上昇した。きっかけはギリシャやスペインの財政危機だ。ユーロは、EUは大丈夫なのだろうか。

   リーマン・ショックと同様の、世界的な金融危機につながるのだろうか。三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部の折見世記・シニア投資ストラテジストに聞いた。

ギリシャ支援にドイツが悲鳴

折見氏は「欧州危機が中国に波及しなければいいが」と心配する。
折見氏は「欧州危機が中国に波及しなければいいが」と心配する。

―― ギリシャの財政危機をきっかけに、EUが揺れています。なぜこのような事態になったのでしょうか。

折見 簡単に言えば、ギリシャは国も家計も借金まみれだったということです。実質金利が低く景気が過熱していたところに、一転、リーマン・ショックによる世界的な景気悪化で、政府がそこから脱出するために財政拡大を行ったためです。つまり、国債の増発です。
   国債は本来であれば家計にとっても負担なのですが、国に信用力さえあれば、表面化しません。ギリシャは公務員が多い国ですし、教育費の無償制度などの財源になりますから、国民にとって、それはそれで家計が潤うことにもなります。
   しかし、一方でギリシャの国家債務はGDPの113%にも達しています。そこに米格付け会社が国債の格下げを発表した。誰もがうすうす感じていたギリシャ国債への不安が、それによって顕在化したのです。 家計にしても、安い金利で調達した資金でドイツやオランダの品質の良い製品を買いまくりました。ドイツなどにとってはモノが売れて経常黒字に貢献するのですから、そんなに悪いことでもなかった。統一通貨ユーロの陰で、こうした状況が見えにくくなっていたことがあります。

―― 最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設や公社債の買い取りなど、IMF(国際通貨基金)やECB(欧州中央銀行)が支援に乗り出しました。

折見 しかし、これで一件落着というわけにはいきません。財務体質の弱いPIGS(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン)諸国は年間1000億ユーロにのぼる債務の返済を、2010年を含め少なくとも5年間は払っていくことになります。2011年には1300億ユーロ、直近でも、7月にはこの4か国がけで360億ユーロを返済しなければなりません。「本当に実行できるのか」という懸念があります。
   財政危機が広がらないように、急ぎ債務条件の変更など(債務再編)への法整備が必要になります。いま、万一債務条件が変更されれば、泣くのは出資者です。IMFやECBが支援した国の財政再建が後退することになれば、ECBそのものへの不信感が増し、それによってユーロの価値も一段と低下します。
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