2024年 4月 19日 (金)

枝川二郎のマネーの虎
ギャンブルを民営化せよ 国や自治体がやる理由ない

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   大相撲の野球賭博騒動は日本中を揺るがした。しかし、野球賭博の何がいけないのかはいま一つ判然としない。ギャンブル自体は常日頃から堂々と合法的に行われているからだ。「暴力団の資金源になるからいけない」などという話もあるが、サッカーJリーグのスポーツ振興くじのtotoと、野球賭博に本質的な違いがあるわけではないのに、一方は奨励され、一方は犯罪とされる。これは前者には賭博罪の規定が適用されないことによる(正当行為とされるため)が、わかりにくいことこのうえない。

日本は世界第2位のオンライン・ギャンブル大国

   ギャンブルにはいろんな種類のものがある。まず世界でもめずらしい公営競技として行われている競馬、競輪、競艇、オートレース。次に宝くじとtoto。それからパチンコ。忘れてはならないのがパソコンで行うオンライン・ギャンブル。日本はアメリカについで世界第2位のオンライン・ギャンブル大国である。海外の胴元が行なっているオンライン・ギャンブルには問題が多いが、日本の警察が取り締まるのは困難なので現実にはフリーパスの状態だ。

   射幸心を煽るギャンブルが望ましいものでないのは明らかであろう。しかし、ギャンブルを愛好するのはいわば人間の本能であり、これを禁止するのは不可能だ。これには米国で禁酒法が飲酒を根絶できなかったことを思い出せばよいだろう。まして現代はパソコンがインターネットでつながっていれば、「どこでも賭博場」となる時代である。われわれはギャンブルといかにうまくつきあうべきかを考えなければならない。

「官から民へ」赤字タレ流しに歯止め

   ところが、現在のギャンブルのあり方は理想とはほど遠い。宝くじについては期待値が低い(胴元の取り分が大きい)ため、事業収益の面では問題がないが、ムダ遣いが事業仕分けで指摘されたのは記憶に新しい。一方、公営ギャンブルには、経営が思わしくないところが多い。なかでも、地方競馬は赤字が目立つ。これにはいくつかの原因があるが、経営感覚のないお役人が放漫経営をしてきたツケがまわってきた部分が大きい。将来の展望がまるでないのに赤字を何年も垂れ流し続けるところも散見され、ムダな公共事業の典型例となっている。

   そこで、わたしは公営ギャンブルを廃止して、民営化することを提案したい。もともと必要悪であるはずのギャンブルなのに、収益で財政に貢献すらできないようでは意味がない。経営は民間に任せて、税金を徴収する仕組みに改めるべきである。

   もちろん、それと同時に厳しい規制を導入することが不可欠だ。とくにギャンブルで身を持ち崩すような人ができるだけ出ないような対策を講じるべきである。それについては興味深い先例がある。カナダのいくつかの地域では、プレーヤーがマシーンに病的にのめりこんでしまう事態を避けるための措置がとられている。今までに賭けた金額と得た賞金を明示しプレーヤーに意識させる、賭け金について前もって限度を設ける、といったものだ。これらは事業収益にはマイナスの効果を持つものだが、社会にとっては必要なものだ。

   ギャンブルを国や地方自治体自らが行わなければならない理由はない。ラスベガスにしてもすべて民間が経営しているのだ。「民間にできることは民間に」という原則はここでもまた正しいといえるのではないか。


   ++枝川二郎プロフィール
枝川二郎(えだがわ じろう)国際金融アナリスト
大手外資系証券でアナリストとして活躍。米国ニューヨークで国際金融の最前線で活躍。金融・経済のみならず政治、外交、文化などにもアンテナを張り巡らせて、世界の動きをウォッチ。その鋭い分析力と情報収集力には定評がある。


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