2024年 5月 5日 (日)

大キャリアと同じやり方では失敗する ジェットスター成功の秘密 
(連載「LCC革命の衝撃」第5回/ジェットスター航空日本支社長・片岡優さんに聞く)

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羽田に参入できるとしても22時~7時の深夜枠

――同一路線に、カンタスとジェットスターの両方が乗り入れているというケースはありますか?

片岡 先ほども出た、シドニー-メルボルン路線がそうです。元々カンタスだけが運航していたのですが、ヴァージン・ブルーやタイガー・エアウェイズといったLCCが参入し、価格志向のお客様がどんどん流れていった。これを受けて、カンタスグループのシェア低下を食い止めるためにジェットスターを飛ばさざるを得なくなった、というのは先ほど申し上げたとおりです。
   さらに、いくらビジネス需要が多い路線だとはいえ、やはりレジャー需要のお客様もいらっしゃる。この部分を取り込むことで、グループのシェアを上げるという狙いがありました。ただし、両社が競合しないように、ジェットスターの便は、昼間の閑散期や夜遅くなど、ビジネス客が好まない時間帯に飛ばすなどの工夫をしました。カンタスがメインで、一番利益が取れる時間帯を飛ぶ仕組みです。

――日本路線についてうかがいます。ジェットスターが最初に乗り入れた日本の空港が関西空港だった理由は何ですか。着陸料の問題ですか?

片岡 まずはスロット(発着枠)の問題です。当時は成田に空きがありませんでした。関空は、その点はある程度自由度があって、いつでも乗り入れ可能な状況だった。さらに同時期に、日本航空が関空-ブリスベン-シドニー路線の撤退を決めたことも後押しになりました。その後は中部(後に撤退)や成田に乗り入れましたが、基本的にはカンタス便を引き継ぐか、カンタスの枠を使ってジェットスターが参入するという形です。

――成田、羽田の発着枠が今後増えます。羽田では、エア・アジアXなど、LCCによる長距離路線の乗り入れも始まりました。追随する考えはありますか。

片岡 羽田の枠は、まだオーストラリアの航空会社には配分されていません。政府間の航空交渉を見守りたいと思います。ただ、もし羽田に参入できるとしても、22時~7時の深夜枠ですね。ただ、非常に運用上の制限が厳しい。仮にこの枠で運用できたとしても、深夜0時にお客様が到着したとして、何人の方が家にたどり着けるのか。このあたりのアクセスがどの程度充実するかがポイントです。シンガポールや香港も24時間運用の空港ですが、例えばシンガポールは、夜中に着いてタクシーで20~30分で市内に移動できます。こうならないとお客様の利便性も上がりませんし、航空会社の運用の幅も広がらない。
   逆に成田に関して言えば、発着枠は2013年以降増えると聞いています。ただし、成田のネックは運用時間。23時以降は使えません。飛行機がちょっと遅れたりしてもダメだし、夜の時間が全然使えないというのは大きな制約です。今後成田の増加する発着枠を有効に利用して首都圏でのネットワークを作って行けるのではないかと考えています。
   そういう意味で、やはりアクセスの充実を望みたいと考えています。お客様の利便性を考えると、30分に1本しかJRの成田エクスプレスが走っていないこと、京成のスカイライナーにしても日暮里や上野まで行かないといけないのは、非常に不便です。
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