2024年 4月 27日 (土)

大キャリアと同じやり方では失敗する ジェットスター成功の秘密 
(連載「LCC革命の衝撃」第5回/ジェットスター航空日本支社長・片岡優さんに聞く)

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

日本の空港の一番の問題は着陸料が高いこと

――関空についてはいかがですか?

片岡 24時間運用ですし、枠もある程度自由。運用面では、航空会社にとっては使いやすいです。問題は、成田も羽田も同様ですが、コスト、着陸料が高いことです。すべての日本の空港について言えることです。航空会社にとっては、これが一番の問題です。
   着陸料以外では、やはりアクセスです。特急では、JRの「はるか」や南海の「ラピート」が走っていますが、30分に1本。夜の時間は走っていません。せめてバスを増やすなどしていただきたいです。我々がコストを下げて低運賃を実現しても、空港までのアクセスが悪いと、お客様が旅行を手控えてしまいます。

――関空については、「LCC向けに着陸料が下がって、専用ターミナルが出来る」といった構想も報じられていますね。ただ、クアラルンプールのように、不便な場所に建てられると困るのではないですか?

片岡 痛し痒しです。コストを下げていただくのは大歓迎ですが、それによってお客様が不便をこうむるとなると…。「安くて利便性も高い」というのは、なかなか難しいのですが…。

――10年には、関空から、台北経由でシンガポール行きの路線も開設されました。「次の一手」は、どうなりますか。

片岡 会社全体で、「パン・アジア・ストラテジー」を立案しています。アジア・オセアニア地区をひとつのかたまりとしてとらえて、地域内でネットワーク化するというものです。まずオーストラリアにハブがあって、ニュージーランド、シンガポール、ベトナムに拠点を置きます。この3つに加えて、日本も重要なハブだと考えています。東南アジアと日本、オセアニア地区を密につないでお客様の利便性を向上させようという計画です。
   シンガポールに本社を置く「ジェットスター・アジア」やベトナムの「ジェットスター・パシフィック」など、東南アジアから日本へのパイプを太くしていきたいと考えています。
   ジェットスターのブランドやノウハウを、それぞれの国に注入してスケールメリットを出し、グループ会社のコストを下げて、安い運賃を提供する。その結果、全体のお客様の数が増える。そうなると、またコストが下がる。このような、良い循環を作り出したいですね。

片岡優さん プロフィール

   かたおか・まさる ジェットスター航空・日本支社長。1963年京都府生まれ。1986年信州大学工学部卒業。シンガポール航空、アンセット・オーストラリア航空日本支社予約部長、ニュージーランド航空西日本地区営業支店長などを経て、06年8月にジェットスター航空日本支社長に就任。10年4月からはジェットスター・アジア航空の日本支社長も兼任している。

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