2024年 4月 24日 (水)

ウィキリークスが公表したエジプト機密公電 「米国は反政府勢力にも接触していた」 

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「イスラム諸国での民主化は混乱と社会の不安定生む」

   米国は政治の自由、多様化主義、人権の拡大などを含むエジプトの民主化を支援してきたとして、スコービー大使はミュラー長官に「緊急法の継続施行に対する危惧」をエジプト政府高官に伝えて欲しいと要望している。

   一方、エジプト政府は米サイドの民主化支持という立場にきわめて懐疑的であり、その理由としてイスラム諸国での民主化の失敗をあげている。イラン、イラクそしてパレスティナで見られるように、混乱と社会の不安定が民主化の結果だというのだ。

「ムバラクからすれば、社会全体の混乱というリスクを取るよりも少数の個人を犠牲にすることが遥かにベターということになる」(2009年5月19日メモ)

   また、米政府が反政府勢力にも積極的に接触していた事実が明らかになった。2008年12月30日付の秘密公電によれば、活動家のひとりがニューヨークで開催された青年運動同盟(AYM)サミットに出席し、ワシントンでも下院議員、議員秘書、研究者などに会い意見を交換したという。大使館が旅費などの経費を負担したかどうかは不明。

   この活動家は「エジプト政府は大改革を実行できないので、エジプト国民は現体制を議会民主制に変えねばならぬ」と主張したが、スコービー大使は「2011年の大統領選挙までに議会民主制に転換するという非現実的な目標に向けて具体的なロードマップが描けていない」とコメントしていた。つい最近までこの判断を疑う人はほとんど皆無であっただろう。

(在米ジャーナリスト石川幸憲)


石川幸憲プロフィル
上智大学卒業後、渡米。南イノリイ大学博士課程修了(哲学)、ペンシルベニア大学博士課程(政治学)前期修了。AP通信記者、「TIME」特派員、日経国際ニュースセンター・ニューヨーク支所長などを歴任。著書に『ウィキリークス』(共著、アスキー・メディアワークス新書11年2月刊)『キンドルの衝撃』(毎日新聞社10年1月刊)がある。

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