ユニークな表現が多いことで知られるインドのテレビCMに、相次いで日本の自動車業界をライバル視するものがお目見えし、話題になっている。乗用車メーカーと二輪車メーカーのもので、いずれも日本人とおぼしきアジア人のみが出演。インドの乗用車や二輪車に、日本人が太刀打ちできないというメッセージが込められているようだ。93万円のミニセダンCMが話題話題を呼んでいるのは、小型車「ナノ」を開発したことで日本でも有名になった自動車大手、タタ自動車のミニセダン「マンザ」のCMだ。11年2月にモデルチェンジして発売され、価格は51万4000ルピー(約93万円)から。タタ自動車のCM。日本の自動車メーカー幹部とおぼしき男性が、インド車の性能に驚嘆しているCMでは、「ニッポン自動車」のタヌカ・ヒロシCEO(最高経営責任者)を名乗る男性と、部下とおぼしき人物の合計8人が、何もない倉庫に登場。タヌカ氏が、「みなさん、私たちが、今ここにいる理由は…」と切り出し、マンザの上にかけられていた幕を取り払う。そして、「美しい色。我々にはあるか」「広いスペース。我々にはあるか」「90馬力。我々にはあるか」と、言ってマンザで急発進、急カーブを曲がり、急ブレーキをかけながら部下に問いかけるものの、部下は「イイエ、タヌカさん」と、たどたどしい日本語で答えるばかりだ。車から降りたタヌカ氏が、しびれを切らしたように「皆さん、我々はどうしたらいいのだろう?」と、危機感を煽るように問いかけると、部下のひとりが、隣の人に「すくに買えばいい」と耳打ち。それがタヌカ氏に聞こえたようで、部下をにらみつける。だが、タヌカ氏は結局マンザを気に入ったようで、CMは、部下をトランクに閉じ込めながら、タヌカ氏がマンザで楽しそうに砂漠を疾走する場面で締めくくられる。CMの中では「我々」が誰を指すかは明示されていないものの、タヌカ氏の肩書きから分かるように、「日本の自動車メーカーのトップがインド車の性能に驚嘆している」様子を描いていることは明らかだ。「パルサーは、インドで日本製よりも5倍も売れている」!?一方、二輪車大手のパジャジ・オートの「パルサー」のCMでは、30秒のCMのうち前半は、日本とおぼしき光景が続く。高速鉄道のサラリーマン、入浴中の入れ墨を彫った男性、寿司職人などが、次々に「ホント?」と叫ぶ。そして、「日本人が『ホント?』という時の意味は、『信じられない』ということだ」という解説が入り、「なぜならば、彼らは、どんな日本のスポーツタイプの二輪車と比べても、インドではパルサーがその5倍売れていることを信じられないからだ」と、種明かしがされる。ウェブサイトにも、わざわざ日本語で「パルサー インドでNo.1のスポーツバイク」「パルサーは、インドで日本製よりも5倍も売れているスポーツバイクです」と書かれており、「5倍」の根拠は不明ながら、やはり日本への対抗心を露骨に表現している。現時点のインドの新車販売ランキングの上位5位を占めるのは、日本のスズキと韓国の現代自動車だが、6~7位にはタタ自動車のモデルがランクインしている。
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