2024年 4月 25日 (木)

新興国株や希少金属も対象 「ETN」は市場活性化させるか

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   ETN(指数連動証券)という耳慣れない金融商品が2011年8月23日、東京証券取引所に初めて上場された。9月以降も順次追加される。

   東証ではこのところ、東証1部上場銘柄の取引が低迷しており、経営を圧迫している。ETNはこれまで個人投資家などが手を出しにくかった新興国株なども対象にできる商品で、市場活性化につなげたい考えだ。

取引価格裏付ける現物資産存在しないのが特徴

「今後もETNに注力し、投資家の利便性の高い商品を提供していきたい」

   ETN初上場を祝うセレモニーで、新上場2銘柄を発行する英バークレイズ・バンクの日本法人、バークレイズ・キャピタル証券の中居英治社長はこう強調した。バークレイズは、この日上場した株価の予想変動率(恐怖指数)などに連動する2銘柄に続き、9月6日には農産物や原油などに連動する7銘柄を上場し、先頭に立っている。

   ETNは、国内でも存在感を高めつつあるETF(上場投資信託)に商品性が似ているが、大きく違う点もある。ETFと似ているのは、東証のような取引所に上場され、 時価で取引される点。また、ETFが「日経平均株価」のような指数に連動するのと同様に、さまざまな「指数」に連動する。

   両者の違いは、ETFが「日経平均株価を構成する株式」などのように、 取引価格を裏付ける現物資産が存在しているのに対し、ETNはそうした資産が存在しない点にある。別の言い方をすると、ETFは株や金に実際に投資されるが、ETNは発行する金融機関の信用力で買い取りや償還を保証するため、現物資産には投資されない。

   この違いはETNのメリットでもあり、デメリットでもある。ETNは商品を作る際に現物資産を調達する必要がないため、日本にいては手が出しにくい新興国株や、現物の確保が難しい希少金属など、ETNのラインアップにはない指数も対象になる。個人投資家などにとってはポートフォリオの幅が広がりそうだ。

指数と取引価格の乖離が生じにくい

   しかし、商品を裏付ける資産が調達されず、発行機関の信用力を頼みとしている点は、それだけリスクが大きいと言うこと。発行機関が破綻すれば商品が紙くずになることには注意が必要だ。

   もう一つ、ETNの特徴は、取引価格が連動する指数にきちんと連動すること。つまり、ETNは指数に連動すると言っても、市場での需給で決まる面も大きい。このため、例えば金のETFが大量に買われれば、実際の金価格がそれほど上がっていなくても金のETFはかなり値上がりする可能性がある。しかしETNは発行機関が指数連動を保証する商品なので、指数と取引価格の乖離(かいり)が生じにくいというわけだ。

   このところ、株価が低空飛行を続けていることもあって、東証での商いは低調だ。東証1部上場銘柄の売買代金は2011年度、1兆円を下回る日も珍しくなく、取引活発の目安とされる2兆円にほど遠い日が続く。ETNも東証の市場テコ入れ策の一環だが、投資家をどこまで引きつけられるか注目される。

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