「少なくともお正月まで見ないと、何とも言えません」
そもそも3DSを大幅に値下げせざるを得ないほど人気が爆発しなかったのはなぜか。細川氏は、「3DSという新しいハードを買ってまで遊びたい魅力的なソフトが少なかった」点を挙げる。
加えて最初の2万5000円という価格設定は、値ごろ感が求められる携帯型ゲーム機としては「敷居が高かった」(細川氏)ことも「悪条件」となったようだ。成功を収めた「ニンテンドーDS」の後継機として話題を集めたうえ、薄型テレビを中心とする「3Dブーム」が起きたことも重なって、3DSへの期待値は大変高まったが、「ソフト不足」と「高価格」が足を引っ張る形となってしまった。
発売から半年での値下げ発表は、細川氏も唐突に感じたようだが、1万5000円に下げたことで「適正な価格」に落ち着いたと見る。任天堂は9月13日に新製品発表会を予定しているが、年末商戦向けの有力ソフトが発表される可能性もある。「年末商戦前に、値ごろ感を出した3DSをできるだけ普及させておきたいという考えは極めて理にかなっています」と細川氏。あとはどれだけ訴求力のあるソフトを提供できるかで、3DSの値下げ効果の出方が違ってくるかもしれない。
任天堂は、3DSの年度内の販売台数目標を1600万台としている。6月30日時点での国内・海外の累計は432万台。値下げ効果が表れてこないと、目標達成は難しい。任天堂広報に聞くと、「値下げから1か月足らずで判断するのは時期尚早です。少なくともお正月まで見ないと、何とも言えません」と話す一方、「ニンテンドーDSも発売当初は『ヒットするのか』と言われましたが、おかげさまで人気商品となりました」と、3DSの販売の伸びに自信をのぞかせる。