プロ野球巨人の球団代表を解任された清武英利氏が2011年11月25日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。一度内定していたコーチ人事を渡辺恒雄氏が覆そうとしたことを「鶴の一声」などと批判を繰り返す一方、会見直前に行われた渡辺氏と清武氏とのやりとりの一部も明らかにされた。「彼は悪名高いが、悪名は無名に勝る」日本外国特派員協会で会見に臨む清武英利氏清武氏によると、11月11日に文部科学記者会で行った会見の直前に渡辺恒雄氏と電話した中で、渡辺氏は、「君は破滅だぞ。読売新聞と全面戦争になるんだ」と、記者会見をやめるように強く求めた。また、11月9日と11日に2人が直接面会したり電話したりする中で、渡辺氏は江川卓氏のコーチ起用の狙いを、「巨人は弱いだけでなく、スターがいない。江川なら集客できる。彼は悪名高いが、悪名は無名に勝る。彼をヘッドコーチにすれば、次は江川が監督だと江川もファンも期待するだろう」と述べたといい、これを清武氏は「巨人のエースだった江川氏を集客の道具にしか見ていない」と批判。さらに、渡辺氏は、「しかし、監督にはしないんだ」とも述べたという。渡辺氏は最初から江川氏のハシゴを外すつもりだったことまで暴露された形で、報道陣からは失笑がもれた。地位保全や損害賠償を求めて近く提訴また、同席した代理人の吉峯啓晴弁護士は、「解任が違法・不当だということを前提に、色々な訴訟の形態がある。渡辺氏の発言や談話は明らかに清武さんに対する名誉棄損だ」と、11年12月にも地位保全や損害賠償を求めて訴訟を起こす考えを明らかにした。清武氏が会見を行った場所では、3時間半前にはオリンパスのウッドフォード元社長が会見を開いていた。そのことを引き合いに、「最高実力者が誤ったときに、誰か取締役が『これが不当だ』と声をあげることは大事だ」「なかなか会見の場所がないこともあるし、海外の方にも、米国の方にもわかって欲しいという気持ちがある」と、日本外国特派員協会を会見場所に選んだ理由を説明した。
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