2024年 4月 26日 (金)

「官房長官」が渡そうとした機密費は1000万円 田原総一朗氏が驚きの実態を明かす

   かつて官房長官を務めた元自民党衆院議員の野中広務氏(86)が当時、ジャーナリストの田原総一朗氏(77)に渡そうとした官房機密費の額について、田原氏本人が「1000万円」だったと明かした。そんな大きな額だったのか、と驚きが広がっている。

   野中氏が2010年、自身が官房長官(1998年7月~99年10月)だったときなどの政治評論家らへの機密費配りについて証言した際、受け取りを拒否した人物として田原氏の名前だけを挙げたことは、比較的広く知られている。その後田原氏は、野中氏との機密費をめぐるやりとりを対談で明かしているが、金額には触れていなかった。

会見会場から「うぉ!」

野田政権は機密費公開にどう取り組むのか。
野田政権は機密費公開にどう取り組むのか。

   田原氏が「1000万円」と金額を明かしたのは、2012年1月26日にあった自由報道協会主催の会見だ。

   「フリー編集者」の男性が、「田原さんに機密費を渡そうとしたが断られた、と野中さんが証言した」ことに触れ、「上杉(隆・現自由報道協会代表)さんとの対談でも50万円ぐらい(略)」云々と質問していたところ、

   田原氏は質問の途中で、「50万円じゃないですよ」と指摘し、「野中さんはいくらボクに渡そうとしたか。こういう場だからはっきり言うと、1000万円ですよ」と続けた。

   金額に驚いたのか、会場から「うぉ!」という小さなうめき声が上がった。

   質問者が触れた対談は、断定はできないが、2010年6月にサイト「現代ビジネス」で配信されたものと見られる。

   この対談の中で、田原氏は、野中氏との機密費をめぐるやりとりの状況を説明している。時期は、2000年4月に当時の小渕恵三首相が緊急入院した「すぐあと」だ。野中氏は当時、自民党幹事長で、約半年前まで官房長官を務めていた。

「いいお茶」と言われた紙袋、実は現ナマだった

   「いいお茶を渡したい」と野中氏から連絡があり、「部屋を取ってくれ」と言われたが、「ちょっとおかしい」と思い、「喫茶店で結構です」と答えた。

   着物を着た女性が約束の場所に現れ、紙袋を田原氏に渡した。田原氏は、「重さ」から判断して「お金なら返さなきゃならない」と押し問答したが、女性が「絶対違います」というので受け取った。

   しかし、すぐにトイレで確認すると「おカネ」が入っていた。人を介して返す方法を探したが見つからず、直接返すことにした。

   田原氏は、野中氏に電話を入れつつ地元の京都まで行き、選挙関連で忙しい本人は不在だったが、「申し訳ないけども」などと「丁寧な手紙」を書いて(事務所に「おカネ」を)置いてきた。

   田原氏は、この対談の野中氏にかかわる箇所では金額に触れていない。

   ほかに、故田中角栄氏(1970年代前半に首相)から「(渡された封筒の)厚さからみて100万円、いや50万円かな」を渡されたが、すぐに事務所へ行き、秘書に返した話や、中曽根康弘政権(1980年代)下での「たぶん100万円」(受け取らず)、時期には触れていないが故安倍晋太郎氏(外相など歴任)の例(返却。金額には触れず)も説明した。

野中氏「盆暮れ500万円ずつ届けることのむなしさ」

   機密費問題に注目が集まる大きなきっかけとなった野中氏証言は、2010年4月、沖縄県での講演やTBS系ニュースのインタビューで出た。

   自身が官房長官だったときの話を中心に、「言論活動で立派な評論をしている人たちのところに盆暮れ500万円ずつ届けることのむなしさ」などと明かす一方、田原氏は機密費の受け取りを拒否したと説明した。

   田原氏に対する機密費の話が、先の対談に出てくる(2000年の)1回だけだとすれば、長官退任の約半年後の出来事で、「長官時代の盆暮れ」の話とは無関係ということになる。

   田原氏の「1000万円」証言を受け、インターネットのツイッターでは「1000万円!」「えぇぇ…」などと驚きの声があがっていた。

   菅直人・前政権が使った内閣官房報償費(官房機密費)は、月あたり1億円を超え、自公政権時代の水準に戻った。鳩山由紀夫元首相のときは、月6000万円程度だった。

   機密費の公開については、首相時代の鳩山氏が2010年3月の参院予算委で、「適当な年月を経た後、すべてが公開されるよう、準備に取りかかっている」と華々しく方針を打ち上げ、公開ルール策定の検討を始めたが、次の菅内閣を含め、尻つぼみに終わっている。

   野田政権の藤村修・官房長官は2011年9月末の会見で、官房機密費について「将来的に相当の時間を経て公開されることはおかしいことではない。今後検討していく」と述べたが、どこまで公開に本気なのかはまだ見えてこない。

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