2024年 4月 17日 (水)

日本海「呼称問題」まだ終わらない 韓国、今度は「電子海図」で巻き返し狙う

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   日本海の呼称を韓国が「東海(トンヘ)」に変更するように求めている問題は、国際水路機関(IHO)総会で韓国側の主張が退けられ、ひとまずは決着したかと思われた。

   ところが韓国は別の手段を講じてきそうだ。「東海」を単独表記した独自の「電子海図」を制作、各国に配布して自国の主張を声高に訴え続けるのだという。

地名の表記は電子海図もIHO基準に従う

日本海の表記をめぐる議論は電子海図へ(写真はイメージ)
日本海の表記をめぐる議論は電子海図へ(写真はイメージ)

   日本海の代わりに「東海」と表記した電子海図の普及を目指す――。韓国・聯合ニュースは2012年4月30日、韓国政府の次の「戦略」をこう伝えた。

   IHO総会では、韓国が主張してきた日本海と「東海」の併記が認められず、IHOが刊行する標準海図集「大洋と海の境界」では引き続き、日本海の単独表記が決まった。2002年、07年の総会同様、今回も議論に決着がつかなかったのだ。そのため韓国側は「結論先送り」と受け止めており、日本海から「東海」への変更を訴え続ける立場を崩していない。

   次なる一手に選んだのが、電子海図のようだ。聯合ニュースの記事では韓国の国土海洋部が、国内の技術を集めて「東海」が表記された電子海図を開発、シェア拡大を急ぐとしている。韓国当局は、電子海図では制作の権利が沿岸国にあり、その国の地名がそのまま海図に表記されると理解している模様だ。

   日本水路協会のウェブサイトには、航海用電子海図(ENC)に関する説明があった。日本のENCは海上保安庁海洋情報部が刊行、外国の場合は「それぞれの政府や政府公認の機関」が制作しているという。制作にあたってはIHOが定める「S-57」と呼ばれるフォーマットがあり、日本のENCもこれに沿ってつくられている。

   ENCでは、制作側に表記上の裁量がどれほど認められるのか。海上保安庁海洋情報部に聞いてみると、地名の表記もIHOの決まりに従うとのことだ。つまり日本海は、韓国を含む他の国が電子海図を作成する場合も「日本海」とするのが原則となる。韓国国土海洋部がどの根拠に基づいて「電子海図では沿岸国の表記がそのまま使える」と考えているかは不明だが、日本側は電子海図も「大洋と海の境界」で使われるのと同じ基準に沿うべきとの理解だ。

取り決め破っても罰則規定なし

   海の航行上の安全確保に重要な役割を果たす海図は、閲覧する側にとって分かりやすさが求められるはずだ。これが電子海図で「ひとつの地名が、作成した国によって別の表記になっていては混乱をきたす」(海上保安庁海洋情報部)。IHOで統一的に定めた地名の表記を採用して電子海図を作成するのは、当然と言えよう。

   しかし、IHOの取り決めを破ったからといって罰則があるわけではない。韓国が日本海の呼称を無視して「東海」と表記した電子海図を作成、配布した場合、利用者に影響が出る恐れはあってもそれ自体を取り締まるのは法的に不可能というわけだ。現に先のIHO総会の席では、韓国が作成した「東海」単独表記の電子海図を展示していた。韓国・朝鮮日報2012年4月27日の記事によると、この電子海図は韓国の国立海洋調査院が2年間、6億ウォン(約4200万円)かけて開発したのだという。今後量産を進めて関係国にばらまき、韓国の主張に賛同する国を増やして次回のIHO総会で逆転を狙う、という戦略も見え隠れする。聯合ニュースの記事でも、開発途上国の水路技術向上を支援しつつ「東海併記」の支持を訴えていくとの韓国当局筋の証言を紹介している。

   20年以上にわたって日本海の呼称に異議を唱え続けている韓国だが、諦める様子は全くなさそうだ。あの手この手で「外堀」を埋めてくる可能性は強く、日本側もうかうかしてはいられない。

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