田中真紀子大臣のちゃぶ台返し 3大学不認可に「やっぱり」の声

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   田中真紀子文科相が独断で3大学新設を却下したことについて、「予想通りの展開」と指摘する声が相次いでいる。それでも任命されたのはなぜなのか。

   田中真紀子大臣は、就任時に「役所と対立するつもりはありません」と話していた。しかし、それが芝居であったかに思えるような、ちゃぶ台返しをしてきた。

新設遅れ、損害賠償の対象になる可能性

   3大学の新設を認めないと2012年11月2日に言い出したことは、田中氏以外は寝耳に水だったようだ。前日に、多くの手順を踏んできた大学設置・学校法人審議会が認可すべきとの答申をしたばかりだったからだ。

   田中氏は、不認可の具体的理由は言わず、大学が増えすぎて質が下がり、就職の問題が出てきていると一般論だけを口にした。審議会の委員29人中22人が大学関係者で、内輪で決めているのも問題だという。10月に創造学園大などを運営する堀越学園に文科省が解散命令を出したことを挙げ、田中氏は、「(大学新設を)安直に認めると、教育の現場が混乱するんです」とまくしたてた。

   これに対し、3大学側は、相次いで会見し、「残念という言葉を超えて暴挙だ」などと田中氏を指弾した。秋田公立美術大の開設を進める秋田市では、行政訴訟を検討していることを早くも明らかにした。13年度の新設は難しく少なくとも1年後になるとの見方が出ており、損害賠償の対象にもなりそうだ。

   新聞各紙も厳しい論調が多く、田中氏は政治主導というより「裁量権の逸脱」であり、不満があれば手順を踏んで新委員でやるべきだなどと指摘している。ネット上でも、批判が相次いでおり、「言ってることはともかく、やり方が思いつきすぎる」「参入を減らしたいのなら、それなりの手続きってもんがあるだろうが」といった声が出ている。

   町村泰貴北大教授は、ブログで「需要の増加が見込めないのだから新規参入は制限しますというのでは、既存の大学は既得権益化し、はなはだ不健康な村社会的風土が醸成されるかもしれない」と指摘した。田中氏は、既設大学の16学部、13大学院は今回認可しているからだ。

藤村修官房長官「文科省に聞いてほしい」

   田中真紀子大臣は、小泉純一郎内閣の外相時代、外務官僚との衝突を繰り返し、米国国務副長官との会談をドタキャンするなどして更迭された経緯がある。それだけに、「予想通りの展開」(元衆議院議員の早川忠孝弁護士)といった指摘が識者らからは上がっていた。

   外相時代に官房副長官をしていた自民党の安倍晋三総裁は、TBS系「朝ズバッ!」で2012年11月5日、田中氏について「メチャクチャな人」「異常な行動をする」と明かした。ほめる人は1人も見たことがないといい、野田佳彦首相が田中氏を起用したことについて、「今までのことをまったくご存知なかったのかなあ、と思いましたね」と漏らした。

   小泉内閣が規制緩和を進めた結果、大学がたくさんできたことから、安倍氏は大学新設のあり方に問題点があることは認めた。一方で、一部夕刊紙では、田中氏が小泉氏への恨みを晴らしたかったという、うがった見方も出ていた。

   野田首相は今のところ、任命責任についてコメントしていない。藤村修官房長官が5日の会見で、「田中氏の判断だ。文科省に聞いてほしい」と述べただけだった。

   もっとも、ネット上で、田中氏の意見には賛同する声も多い。「少子化だし大学多すぎるよな」「むやみに大学を増やすのは反対だな」といった指摘が相次いでおり、新設のあり方について見直しは避けられない情勢だ。

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