スマホが発する「ブルーライト」は有害なのか 睡眠障害やがん発症など健康リスク高まる恐れ?

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   パソコン(PC)やスマートフォン(スマホ)、タブレット型PCといった機器には、LED画面が使われている。利用時は、ブルーライトと呼ばれる青色の可視光線が出る。長時間浴び続けると人体に影響があると懸念され、最近では光線をある程度遮断するメガネや保護シートが開発されている。

   2013年6月には国際シンポジウムが開かれ、医師らがブルーライトの健康に与える危険性に警鐘を鳴らした。

医学的議論はまだだが網膜へのダメージの恐れと指摘

スマホの普及でブルーライトを浴びる時間も増える傾向に
スマホの普及でブルーライトを浴びる時間も増える傾向に

   眼科医を中心に結成された「ブルーライト研究会」のウェブサイトによると、電子機器の画面が発するブルーライトの人体への影響については医学的な議論が行われていないという。半面、長期的には目の網膜へのダメージ、さらには「サーカディアンリズム」、または概日リズムという1日24時間周期の生体リズムへの影響が指摘されているとの言及がある。

   同会は2013年6月、ブルーライト問題についての国際シンポを東京都内で開催した。技術者向け情報サイト「Tech-On!」8月27付の記事によると、発表では、ブルーライトに長時間にわたって過度にさらされた場合、「加齢黄斑変性」という難病を発症する可能性を否定できないとの報告があったという。この病気は、加齢に伴い網膜にさまざまな異常をきたした状態で、失明の原因にもなる。

   また元来ブルーライトは自然光に含まれ、太陽が昇れば人間は覚醒して行動し、沈んでブルーライトが消えると睡眠へ誘導されるのだが、夜でも電子機器を使えばブルーライトが照射されていることになり、昼夜の区別がつかなくなってサーカディアンリズムが乱れる恐れが出てくるというのだ。

   PCに加えてスマホやタブレットPCの利用機会が増え、ブルーライトを直接浴びる時間も増えている。楽天リサーチが2012年5月24日に発表した「スマートフォンの使用実態に関する調査」では、スマホ購入後のPC利用時間が「変わらない」と回答した割合が63.3%に達していた。多くの人は今まで以上にブルーライトにさらされる時間が長くなっている計算だ。調査会社ニールセンの2013年5月28日公表の調査結果によると、スマホのひとりあたりの月間利用時間は、男性が34時間で女性が47時間だった。

   帰り道の通勤電車でスマホを眺め、帰宅後も引き続きスマホを使ったりPCを立ち上げたりすれば、夜間もブルーライトを受けっぱなしとなる。

ブルーライトを30%カットするスマホ開発

   ブルーライト研究会では、先述した加齢黄斑変性だけでなく、眼精疲労や目の痛みを引き起こす可能性を説明している。さらにサーカディアンリズムの乱れが、目以外の疾患につながる恐れがあるとも指摘している。

   いわゆる体内時計のリズムが崩れると、睡眠に影響が出る。寝つきが悪い、眠りが浅くなるといった具合だ。夜遅くまでブルーライトを浴びた結果、自律神経系や免疫系にも悪影響を及ぼすという。睡眠障害や、イライラといった精神状態の悪化も否定できない。血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが低下して糖尿病のリスクを高める、さらにブルーライトとの直接的な関連性は明らかにされていないものの、サーカディアンリズムが乱れやすい職場で働く女性の場合、乳がんの発生率が非常に高い点も挙げた。

   ただ同会も認めるように、医学的な議論はまだ十分とは言えないようだ。2012年10月27日付の朝日新聞はこの点を突いている。太陽光に含まれるブルーライトに比べて、PCやスマホが発する光量はわずかだというのだ。眼精疲労について、筑波大学の大鹿哲郎教授の「青色光(ブルーライト)が有害だとする有力の証拠はまだない」とのコメントを引用している。

   それでも最近は、ブルーライトから目を保護するための特製メガネが販売されたり、「スマホの画面に張ればライトを大幅カット」とうたう保護フィルムが開発されたりしている。NECカシオが3月1日に発売したスマホ「メディアスX」には、ブルーライトを30%カットする「ブルーライトカットモード」が搭載され、富士通も6月7日発売の「アローズNX」で追従した。ブルーライトと健康の関係性の究明が進めば、次世代のスマホには必須の機能となるかもしれない。

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