2024年 4月 29日 (月)

セブンーイレブン、JR西に大量出店 「駅ナカ」で成長けん引、両社の思惑が一致

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   JR西日本グループとセブン-イレブン・ジャパンが「駅ナカ」を中心とした売店やコンビニ事業で業務提携した。

   既存の約500点舗を5年かけて共同店舗に切り替える。JR西は非鉄道事業の拡大、セブンは西日本での店舗網充実を図るという双方の思惑が一致した大型提携だ。

商品はセブンから取り寄せ

「セブン―イレブン キヨスク」イメージ(画像は「JR西日本」プレスリリースより)
「セブン―イレブン キヨスク」イメージ(画像は「JR西日本」プレスリリースより)

   JR西日本は子会社のジェイアール西日本デイリーサービスネットが、駅の売店「キヨスク」約300店とコンビニ「ハート・イン」約200店の計約500店を運営している。黒字を確保しているものの、商品力、運営ノウハウで大手コンビニに遅れをとっており、独力での成長は難しいと判断した。

   本業の鉄道事業は、沿線の人口減少によって、輸送人員の大きな伸びは見込みにくい。このため非鉄道事業に力を入れているが、JR東が「ルミネ」や「アトレ」などの商業施設を生み出し、成功しているのと比べると、大きくも見劣りしていた。それを打開する起死回生の一手として手を組んだのが、コンビニ最強のセブンだったというわけだ。

   2014年3月27日の発表によると、まず6月上旬に京都駅などの5店で共同店舗に切り替える。店名は「セブン-イレブン キヨスク」、「セブンーイレブン ハート・イン」と旧店名も残すが、商品はセブンから取り寄せる。店舗面積が狭い売店は、冷蔵庫を増強してサンドイッチやおにぎりなどの品ぞろえを充実させ、コンビニでは、いれたてコーヒー「セブンカフェ」や公共料金収納代行など、セブンのフルサービスを提供する見込みだ。すべての店舗をリニューアルした5年後には、現在より4割程度売り上げをアップさせたい考えだ。

競合も少なく、利用客を独占できる利点

   セブンには、「駅ナカ」店舗運営のノウハウがある。2009年、京浜急行電鉄と業務提携し、駅への出店を開始。乗降客のニーズに合わせた品ぞろえで、セブン導入前に比べて売り上げを3~5割伸ばした。駅ナカは人が集まる一等地であることに加え、競合も少なく、利用客を独占できる利点もある。

   セブンだけでなく、ローソンやファミリーマートなど他の大手チェーンも駅ナカへの出店には積極的。この分野で先行するのはファミマで、JR九州や近畿日本鉄道、西武鉄道などの駅に約400店を設置している。セブンは約60店に過ぎなかったが、今回の提携で一気に約500店を積み上げる。

   特に、セブンにとっては西日本での勢力を大幅に拡大できるという意味も大きい。コンビニ最大手のセブンの国内店舗数は1万6000を超え、2位ローソンに5000店近い差をつけている。ただ関西地域で強いのは、神戸で生まれたダイエーの流れをくむローソン。セブンは、東日本に比べ、西日本の店舗は売り上げが劣っている。今後、一等地に店舗網を広げれば、それだけ「規模のメリット」をいかせるのだから、単純な店舗数の増加以上の意味があるのだ。

   全国の鉄道の売店、コンビニのうち、大手コンビニが関わっているのは2割程度とされる。今回の提携を受け、他のチェーンも鉄道事業者への提携を一層拡大しようと努めるはずだ。「飽和状態」といわれながらも、ニーズに合わせた商品、サービスを展開すれば、なお成長できるとみる大手コンビニ。「陣取り合戦」はますます過熱しそうだ。

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