お遍路に次々「外国人排除」の張り紙 ハングル案内シールへの抗議だった

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   「『大切な遍路道』を朝鮮人の手から守りましょう」。こんなフレーズをうたった張り紙が、四国・お遍路の休憩所などに相次いで掲示されていたことが分かった。どうやら、お遍路好きな韓国人女性が貼ったハングル案内シールに対抗したものらしい。

   張り紙には、「日本の遍路道を守ろう会」とあり、そこにはこう書かれていた。

「最近、礼儀しらずな朝鮮人達が、気持ち悪いシールを、四国中に貼り回っています。『日本の遍路道』を守る為、見つけ次第、はがしましょう」

徳島県「差別的な張り紙であり、人権問題になる」

   徳島県では、阿波市などにある民間の小屋4か所、香川県では、高松市などの民間の休憩所2か所で張り紙が見つかったことが、両県などの2014年4月10日までの調べで分かっている。両県によると、いずれも小屋などの所有者に無断で貼っていた。

   徳島県の広域行政課によると、張り紙は、ハングル案内シールをはがしてから張ってあった。報道によると、このシールは、韓国人の崔象喜(チェ・サンヒ)さん(38)が歩き遍路をする中で、12年ごろから飲食店や休憩所に許可をもらって貼っていた。直径10センチほどのシールには、道順を示す矢印が描かれ、日本語とハングルで「お遍路さんを応援します」などと書かれている。

   13年5月に崔さんが4度にわたって、お遍路の寺88か所すべてを巡礼したときには、約4000枚を貼り終えたという。4度の巡礼を受けて、崔さんは12月、四国八十八ヶ所霊場会から外国人初の「公認先達」に認定されている。

   報道では、張り紙は、「外国人排除」だとされ、霊場会は、「差別は許されない」とマスコミ取材にコメントした。徳島県でも、「差別的な張り紙であり、人権問題になる」として、場合によっては、張り紙をはがす手続きをすることになるという。

   ネット上では、張り紙について、「驚くべき愚行」といった批判は出た。崔さんが貼ったシールについても、「許可とってたら、反論はきわめて難しいな」と理解を示す声はある。

電柱などのハングル案内シールは無許可だった

   一方で、張り紙について、「景観保存の主張であり、外国人排除を主張しているとは思えません」と報道に異論も出た。また、崔象喜さんがハングル案内シールを張っていたことへの疑問も相次いでおり、「日本語、英国、ついでにハングルの入ったステッカーを自治体がつくって貼れば問題は治まる」といった指摘があった。

   崔さんは休憩所などから許可を得たとしているが、ネット上では、電柱や道路標識にもシールが貼ってあったと問題視する声が出ている。

   香川県の都市計画課によると、崔さんは実際、電柱やカーブミラーなどには無許可でシールを貼っていた。2013年5月の報道を受けて、県にこのことについての意見が寄せられ、県は、事実関係を調べたうえ、8月に崔さんに事情を聞いた。

   崔さんの行為は、県屋外広告物条例に抵触することを伝えると、崔さんは、「理解しました。もうこれ以上は貼りません」と謝罪した。電柱などに勝手に貼ってはいけないことは知らなかったといい、ほかにお遍路の日本語案内シールも貼られていたので、「大丈夫だと思ってしまった」と説明した。ただ、シールをはがすとまでは言っておらず、電柱などにまだ貼ってある可能性はあるという。

   徳島県によると、崔さんのシールについて、意見が数件来ており、四国がお遍路の世界遺産登録を目指していることから、「一定の基準を作らないと、登録にマイナスになる」といった危惧が寄せられた。一方、香川県の文化振興課によると、お遍路の案内について、世界遺産登録に備えて統一サインを作ることを現在協議しているそうだ。

   崔さんは現在、ソウル市内でゲストハウスを経営しており、取材に対し、「インタビューはお断りしたいです」と答えた。その理由については、「いろいろ新聞に載って困っています。つらいです」と日本語で話した。

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