2024年 4月 25日 (木)

「プロ野球交流戦」削減でいいのか ファンの意見聞かぬまま球界の都合優先

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   プロ野球の人気イベントといえるセ、パのチームが対戦する交流戦の試合数が来シーズンから減ることになった。

   理由は球界の都合で、ファン不在との批判を受けることは必至だ。

「侍ジャパン」への影響を持ち出したセ・リーグ

東京ドームで見られる交流戦も来季から減少
東京ドームで見られる交流戦も来季から減少

   1カード3試合の1球団18試合とする。この内定が明らかになったのは2014年8月11日のセ、パ12球団による代表者会議。セの意向にパが押し切られた形で、9月の実行委員会で正式に決まる運びだ。

   現行は5月から6月に行われ、1カード4試合、1球団24試合。この制度を導入した06年は1カード6試合で1球団36試合だったが、翌年から現在の方式になった。セの示す理由は2つ。

   (1)日程の問題。1カード2試合のため移動日が多くなり、間延びすることと、そのため後半戦の日程にしわ寄せが及ぶ。今年は交流戦の日程39日のうち15日も試合なしがあった

   (2)国際試合を行う日本代表「侍ジャパン」のビジネス。事業会社化し、来年からは11月に試合を行い新たな収入源にするのに、公式戦のコンパクト化が必要

   この2点を突きつけられたパは抵抗できなかったようだ。「侍ジャパン」は12球団で行うビジネスだけに、反対することができないということである。セの作戦勝ちといっていいだろう。

   この内定でおかしいと思うのは、「ファン不在」ではないか、ということである。そもそも交流戦が導入されたきっかけは、球界再編成の騒ぎだった。

「球界の活性化」で取り入れたはずだったが…

   パ創設からのチーム、近鉄が経営から撤退、オリックスに吸収された。1球団減ったことから再編案がいろいろ出た。2チームを合併させて1リーグ10球団制、あるいはセ、パ5球団制だ。しかし、ファンから「従来のセ、パ6球団の12球団」の声が強くあがり、それを受け入れ、新球団の参加を認めた。ライブドアが不合格となり、それで実現したのが楽天だった。

   再編は社会現象となり、球界は長くファンから求められていた交流戦を取り入れた。名目は「球界の活性化」だった。すでに大リーグがナとアが対戦するインターリーグを行っており、多くのファンたちは「日本も導入せよ」と求めていた。

   プロ野球はファンの意見を聞き入れたのである。これは「ファンあってのプロ野球」とするプロ野球界のほんらいの姿勢で、高く評価されるものだった。

   ところが球界内部では異論が渦巻いていた。試合は興行、商売で、交流戦で潤ったのはパ。巨人や阪神の人気セ球団との試合は観客が詰めかけた。増収である。一方、セはパのような目に見える効果は現れなかった。

   代表者会議の結果をみると、球界の都合であってファンのことなどおかまいなしという気がする。球界再編成のときの苦しみなど忘れ去っているらしい。うかがえるのは、セからすれば交流戦導入はパの要望を聞き入れたのだから、変更はこちらの言うことを聞いいてもらいたい、といったところだろう。

   大リーグは改革を数々実行しているが、「ファンが喜ぶように」との姿勢は貫かれている。その点、日本は「自分のため」と思しか思えない。手を加えるのはいいが、すくなくともファンの意見は聞くべきだろう。そうしないと必ずやしっぺ返しを食う。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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