2024年 4月 25日 (木)

パズドラ「ひとり勝ち」もこれまでか 課金率は低下し新規ユーザーも伸び悩む

   スマートフォン(スマホ)向けゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)の快進撃にブレーキがかかってきた。運営会社ガンホー・オンライン・エンターテイメントの売上高、営業利益が2四半期連続で前期比減を記録したのだ。

   振り向けばライバルのゲームが、人気面で猛追してきている。このまま独走を続けていくのは難しくなってきたかもしれない。

「クリア」目指さず「暇つぶし」に使う

暇つぶしには最適だが...
暇つぶしには最適だが...

   「国内パズドラの新規ユーザー獲得のペースが鈍化及び課金率低下」。

   ガンホーは、2014年10月29日に発表した7~9月期決算で、前期比で減収減益となった理由をこう説明した。今期の売上高は384億9400万円、営業利益は196億6900万円だが、2014年1~3月期をピークに2四半期続けてのダウンとなる。

   パズドラは、2014年9月25日までに国内で3100万ダウンロードに達した。ガンホーによると、スマホの国内契約台数は6200万件。こうなると2台に1台はパズドラがインストールされている計算となる。ただし最近の新規ユーザー数は伸び悩む。2011年初旬は月次で100万ダウンロードを超えていたが、9月は59万3937ダウンロードと今年最少となった。課金率もこの1年ほどは、一時的に持ち直すことはあっても基本的には退潮傾向だ。

   パズドラが短期間で広く普及した理由のひとつに、「無料でも楽しめる」という点が挙げられる。リリースされた2012年、ソーシャルゲームではいわゆる「コンプリートガチャ」による高額課金が社会問題化していた。パズドラはコンプガチャを「反面教師」にしたかのように、課金額を低額に抑え、無料でもゲームの醍醐味を味わえる仕様としたのがユーザーの人気を集めたようだ。たとえ少額の課金でも、ダウンロード数が3100万ともなれば相当額が収入として見込めるだろう。

   課金に関してITジャーナリストの井上トシユキ氏は、スマホゲームに対するユーザーの意識が変化してきたと分析する。周囲のユーザーを調査したところ、最近ではゲームを最後まで「クリア」することに主眼を置かず、「暇つぶしのために使う人が増えてきた」そうだ。こうなると、「アイテムを買って何とか攻略しよう」という動機は薄まる。しかもパズドラは無料で十分楽しめるつくりだ。暇つぶしにわざわざお金を使う必要などないと考える人が多くなってきたとしても、不思議ではない。

ライバル「モンスト」ランキング首位に

   スマホ利用者の増加に伴い、ゲーム以外の「暇つぶしツール」が増えた点も、井上氏は指摘した。今までゲームしかしていなかった人が、交流サイト(SNS)ほか別のサービスやアプリに移り、ゲームそのものから離れてしまうというのだ。

   強力なライバルの存在も気になる。SNS大手のミクシィは10月28日、スマホゲーム「モンスターストライク」(モンスト)の世界累計利用者数が1500万人を突破したと発表した。まだパズドラには及ばないものの、1年ほどで急成長を遂げたのは明らかで、もはやパズドラの「ひとり勝ち」とは言えなくなってきたようだ。ガンホーの発表資料では、パズドラが売り上げランキングで「国内市場は飽和し競争環境が激化するものの、未だ1位を継続」と説明されている。だが直近の10月30日時点では、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」などの基本ソフト「iOS」向けアプリストア「App Store」と、米グーグルが開発したOS「アンドロイド」向けストア「グーグルプレイ」の両方で、モンストがパズドラを押さえてランキング首位に立っている。

   ガンホーは今後の展望として、海外への進出を挙げる。中国や東南アジアでの市場の成長など、スマホゲームは「世界規模での拡大が期待できます」という。国内市場が頭打ちとなりつつある中では、ある意味で当然の選択といえよう。井上氏は、パズドラが海外展開を進めた場合は「受け入れられる素地はあります」と、ユーザー獲得は成功に向かうとの見方を示した。ただし収益性は未知数とも付け加えた。国内同様、スマホゲームが「暇つぶし」として定着していたら大幅な課金収入が望めるかどうか微妙だろう。

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