2018年 11月 19日 (月)

機内出産の「美談扱い」とんでもない! 産婦人科医「医療トラブル、事故に等しい」と指摘

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   カナダから成田空港へ向かっていた飛行機の中で、女性乗客が出産し、同機は予定より早く成田空港へ緊急着陸した。幸い母子ともに健康で、出産の瞬間は機内のほかの乗客から拍手が起きたという。

   新聞各紙やテレビなどマスコミはこのハプニングを「美談」のように取り上げた。その一方、出産を控えた妊婦が搭乗することの危険性を指摘する意見があり、安易に「美談」扱いすることに疑問を持った人もいたようだ。

  • エア・カナダ機内でまさかの出産(画像は記事中の機体と異なる)
    エア・カナダ機内でまさかの出産(画像は記事中の機体と異なる)

「無事でよかったけどさ・・・」

   2015年5月10日、太平洋上を飛行中のエア・カナダ9便ボーイング767の機内で女性客が出産。同機は緊急事態だとして、成田空港に予定より約30分早い14時ごろに着陸した。

   国土交通省成田空港事務所やエア・カナダによると、出産したのはカナダ国籍で23歳の女性。着陸後は救急車で病院に搬送されたが、母子ともに健康だった。

   新聞各紙やテレビは、赤ちゃんを抱いた父親が飛行機から降りてくる写真や映像などを伝え、「美談」として大きく取り上げた。こうした報道を受け、ツイッターでは、

「お母さんも赤ちゃんも元気で何より」
「感動で泣きそう」

と、まさかのハプニングを祝福する投稿が相次いだ。

   その一方、出産を控えた妊婦が飛行機に乗って大丈夫なのか、と違和感を覚えた人もいるようだ。

「いい話だけど、まだ産まれないと思って乗ったのか」
「おいおい。無事でよかったけどさ・・・」
「妊娠していて飛行機に乗るなんて気圧の変化や環境の変化で色々と危険すぎる・・・」

と安易に「美談」扱いすることに疑問を持った人も少なからずいたようだ。

予定日28日以内は「健康上の支障がない」と認める診断書

   国交省航空局によると、日本の法律で妊婦の航空機の搭乗を制限する規定はない。対応は航空各社によって異なるという。

   国内の多くの航空会社に共通しているのは、出産予定日28日以内の搭乗時に医師が「健康上の支障がない」と認める診断書の提出だ。また日本航空は7日以内、全日空は14日以内の場合、さらに医師の同伴が必要となる。そのほかスカイマークやピーチなど格安航空会社(LCC)各社も日数の違いはあるが、いずれも診断書の提出や医師の同伴が決められている。

   エア・カナダの場合はどうか。同社によると、経過が順調で、過去に早産の経験がない場合に限り、妊娠36週満了時までの搭乗が許可されるという。ただ、あくまで乗客の自己申告に基づき、今回のケースでも出産後に妊娠期間などは確認していなかったという。

   産婦人科診療所いのうえクリニックの井上純院長はJ-CASTニュースの取材に、

「産婦人科医師としては、まったく笑えないニュースだった。もしも何らかのトラブルがあって、専門的な緊急蘇生の措置が必要だったとすればどうなっていたか」

と指摘する。

「産婦人科医からすれば、機内での出産は事故だと言っても過言ではない。今回はあくまで『たまたま良かったケース』に過ぎない」

と「美談」扱いすることに警鐘を鳴らす。

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