2024年 4月 26日 (金)

脳に直接働きかけて「うつ」を治す 「磁気刺激療法」が注目され始める

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TMS、診療費は1セット180万円

   この磁気刺激療法(TMS)の効果は、日本でも徐々に認められつつある。

   昭和大学烏山病院の岩波明院長は、「うつ病に対するTMSの効果は、少なくても投薬と同等かそれ以上のものです。副作用はごくわずかで安全性が高いほか、外来で治すことが可能で、治療中に治療者との会話もできます。つまり、患者さんの安心感が高いわけです」と話す。

   しかし、TMSは日本ではまだ医療(薬事)行為として認められていない。自由診療、あるいは一部の医療機関が行っているうつ病治療でのTMSの臨床研究に、治験者として参加するしかないのが実情で、厚生労働省が現在、薬事承認を審査している最中だ。

   つまり保険などが使えず、医療費がかさむのが「弱点」というわけだ。

   米国では2008年にFDA(米厚生省)が認可。TMSはすでに、米国内で500か所以上の医療機関に導入されている。もちろん保険が適用され、活発に利用されている。

   一方、日本で唯一大規模なTMS治療施設をもつ新宿メンタルクリニックの例では、自由診療ということもあり、1回30~40分の診療を1セット(30回)行う治療で、およそ180万円かかるという。

   国立精神神経医療研究センター病院・精神先進医療科の鬼頭伸輔医師は、「TMSは抗うつ剤による治療が効かなかった患者さんの約3割に効果が見込めることが、これまでの臨床結果などからわかっています」と、その効果については期待を寄せながらも、「(TMSの)治療は、それだけ患者さんに経済的にも時間的にも負担がかかってしまいます。通常は、中等度以上の患者さんには投薬治療からはじめるのが手順。効果が見込めるからといって、いきなりTMSでの治療というのはリスクがあります」と、慎重な運用を提案している。

   日本国内のうつ病患者は年々増加する傾向にある。厚労省によると、1996年は43.3万人だったが、2011年には95.8万人に達している。

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