2024年 4月 28日 (日)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
歴代5首相の「安保法案」提言 いうべき相手は中国と韓国だろう

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「カントの三角形」の観点から考える

   しかも、この戦争データの分析では、哲学者カントにちなんだ「カントの三角形」も定量的に実証されている。カントは、(1)民主化、(2)経済依存度、(3)国際機関加入を推し進めれば、平和になると論じたので、今では、この3点を「カントの三角形」と呼んでいる。

   この観点から、(1)民主化について、日本のアジアの中でも位置づけをみると、日本は戦後一貫して、アジアで唯一のfull democracy であり、一番平和国家だ。この点、中国は今でも、民主的でない独裁国家であり、韓国でも独裁国家であったときもあった。

   今回、歴代5首相は、安保関連法案を立憲主義に反しているといい、全く立憲主義とはほど遠い中国らと同調するのは滑稽である。そもそも中国では共産党が指導する国で立憲主義とは正反対である。平和憲法を守れといいながら、中国には平和憲法もなく、軍隊も法のコントロールではなく、共産党の軍隊にすぎないことをご存じないのか。

   国際政治のリアリズムからいえば、カントの三角形のように、日本が平和憲法を主張するよりも、中国を民主化し、平和憲法を導入させるほうが、はるかに日本は安全になる。

   歴代5首相の今回の提言は、官邸に届けられるようであるが、いうべき相手はむしろ中国と韓国であり、いうべきことは民主化である。歴代5首相の提言は、あまりに世界の常識からかけ離れていて、かえって逆効果になっただろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)など。


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