2024年 5月 6日 (月)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
米国では出る杭は打たれる? VW不正騒動の背景を読む

「絶妙のタイミング」だったスズキの提携解消判断

   それにしても、先(8)月にVWとの提携を解消したスズキはなんという絶妙のタイミングだったのか。鈴木修会長の記者会見を読み直してみると、「愚痴は避けたい。過去については『沈黙は金なり』ということで、コメントは差し控える」と意味深だ。

   ただ、VWとスズキの提携目的は環境技術の協力であったが、それについて鈴木会長は「2009年12月に契約を結んだが、1年ほど経過したところで様々な行き違いが生じ、2011年に提携解消を申し入れた」とも話している。VWの排ガス不正は2009年からなので、ディーゼル車は燃費のよさが特徴であるが、VWがその技術を教えなくなった事情があったのではないかと勝手に想像している。

   VWは、今回の事件で、ウィンターコーン最高経営責任者(CEO)が辞任するなど屋台骨がぐらぐらだ。制裁課徴金は2兆円を超えるとも報道されている。

   いずれにしても、結果としてVWが信用を失う中で、神がかり的なタイミングでVWとの提携を解消したスズキには、先見の明があったといえよう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)など。


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