2021年 5月 10日 (月)

日本の新幹線、インドネシアで中国に逆転負け 「安全と正確」では「安さ」には勝てない実情

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   インドネシアのジャワ島に建設する高速鉄道計画で、インドネシア政府が中国案を採用し、日本の新幹線案が退けられた。日本政府の衝撃は大きく、菅義偉官房長官は2015年9月29日の記者会見で「決定の経緯は理解しがたく、常識として考えられない」とインドネシア政府に対する強い批判を口にした。

   中国側の遮二無二受注しようという動きがあったとはいうものの、インフラ輸出はアベノミクスの成長戦略の柱だ。日本のインフラ輸出戦略や態勢の見直しは不可避といえる。

  • インフラ輸出には総合的な提案力が必要(画像はイメージ)
    インフラ輸出には総合的な提案力が必要(画像はイメージ)
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菅官房長官「常識として考えられない」

   この案件はジャカルタとバンドンの間の約120キロを結ぶもので、将来的にはスラバヤまで約570キロに延伸する計画もある。元々、日本とインドネシア両政府が協力して数年前から調査を進めており、日本が新幹線方式の売り込みに力を入れていた。ところが、2015年3月に突然、中国が計画への参入を表明。日本と中国がそれぞれに条件を提示し合って受注を争う形となった。インドネシア政府はこうした激しい受注競争で板挟みになり、9月初旬、一旦は計画を白紙に戻すと表明した。そこから一転しての「中国案採用」は、日本にとって青天の霹靂といえ、菅長官の怒りの談話になったわけだ。

   そもそも日本の敗因は何か。基本的にはインドネシアの国内事情だ。2014年10月に就任したジョコ大統領は、同国で比較的開発が進んでいるジャワ島以外のインフラ整備を進める方針を掲げたのだ。ジョコ政権としてはジャワの高速鉄道の優先順位は低く、政府予算を使わず、民間ベースの事業にしたい、との意向を示していた。

   日本も安倍晋三首相がインドネシアのジョコ大統領に対し、約1400億円の円借款を表明したものの、借款つまり借金で、インドネシア政府は最終的な返済義務を負う。これに対して中国は、「初の高速鉄道輸出」を実現するため異例の低利融資を提示、政府保証も求めないという過去のインフラ整備で例のない条件を提示し、受注を勝ち得た。

   こうしたなりふり構わぬ中国の受注に対しては、「安かろう、悪かろうでいいのか」(日本政府筋)という「正論」の批判はあるが、「日本側の読み、対応の甘さがあった」(業界関係者)との声も少なくない。資金面で有利な条件を示した中国に対し、日本がアピールしたのは「安全性」や「運行の正確さ」などの品質の高さだった。しかし、「日本人が国内で求めるほどの高い品質を他国が求めているとはいえない」(同)という実情をどこまで考え、現地で本当に求められるものを見極めていたのか。実際、「中国の方が売り込み上手」との見方は強い。

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