2024年 4月 19日 (金)

「マイナス金利」でマーケットは大激震 「いま買っていい金融商品」はあるのか

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   日本銀行がマイナス金利政策の導入を決めた影響が、身近な金融商品に広がっている。

   政策導入の「サプライズ」発表があったのが2016年1月29日。これを受けて、円相場は急速に下落、株価は急騰、長期金利も急低下した。いま買っていい金融商品――というものはあるのだろうか。

  • 日銀の「マイナス金利」政策で、いま買える金融商品は・・・
    日銀の「マイナス金利」政策で、いま買える金融商品は・・・
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銀行・生保の資金が行き場を失う

   「黒田バズーカ 第3弾」の破壊力は、今のところ絶大のようだ。マイナス金利の導入は2016年2月16日からだが、すでにアナウンス効果でマーケットは大きく動いている。

   2月2日の東京株式市場は、日経平均株価の終値が前日比114円55銭安の1万7750円68銭で引けた。利益確定売りが出たことで値下がりしたが、日銀のマイナス金利の導入発表を受けて、年初来安値を付けた1月21日からは10.8%も値を上げたことになる。

   円相場が1ドル121円台まで円安に振れ、電機や機械などの輸出関連株を中心に買いが膨らんだ。早くも、日経平均株価が「2万円を超える」との声も出てきた。ただ、業種によって動きは違う。

   金融アナリストの小田切尚登氏は、「株価はアナウンス効果だけで大きく動きました。銀行や生命保険などは下落、不動産は上昇しました。日銀がさらに金利のマイナス幅を大きくする可能性もありますから、この流れは当面続きそうです」とみている。

   つまり、マイナス金利は銀行株や生保株にとっては売り材料、不動産株などは買い材料ということらしい。

   注目したいのは、銀行や生保の運用資金の動向。マイナス金利になれば、銀行は金利分を日銀に支払わなければならなくなるので、日銀の当座預金には預けられない。さらには長期国債の利回りが低下(債券価格は上昇)して、マイナス利回りにもなりかねない状況なので、銀行や生保の運用資金は行き場を失うことになる。

   小田切氏は、「マイナス金利の導入は銀行の企業貸出を伸ばすためですが、その効果は限定的だと考えます。たとえば、中小企業に貸しても量的には小さすぎるからです。一方、不動産は金利が下がったことで個人から企業まで買いやすくなります。当然、不動産株やREIT(不動産投資信託)での運用が増えることも見込めます。銀行の運用資金はボリュームが大きいので、わずかな資金が流入しても大きく押し上げる可能性があります」と説明。不動産やREITが、銀行や生保の新たな運用先として「恩恵を受ける」とみている。

100万円を1年間銀行預けても、利息はたった10円

   一方、東京債券市場では2016年2月1日、国債の利回りが低下するとにらんだ投資家が国債を買い進めた結果、長期金利の指標となる満期10年の新発国債の利回りが前週末の終値より一時0.045ポイント低い0.050%を付け、過去最低を更新。前営業日の1月29日との2日間の下落幅は0.170ポイントに達した。

   5年債も一時、前週末比0.030ポイント低いマイナス0.100%まで低下。20年債は一時0.740%を付けて2003年6月以来12年半ぶりに過去最低を更新した。

   これを受けて、三井住友アセットマネジメントや大和証券投資信託委託などが、安全性の高い公社債で運用する投資信託MMF(マネー・マネジメント・ファンド)や価格変動のリスクが比較的小さい公社債で運用する投資信託「中期国債ファンド」などの販売を停止した。

   短期国債を主な投資対象としているMMFは、顧客に売る商品として安定的な利回りの確保が難しくなったためだ。株式より安定した運用を目指していた個人投資家にとっては、MMFなどの販売停止で運用先に困る可能性が出てきた。

   また、銀行は利ざやを確保するため、預金金利を引き下げた。横浜銀行は、預入期間の短い定期預金の金利を普通預金と同じ金利水準に、またインターネット専業のソニー銀行は普通預金の金利を年0.020%から年0.001%に大幅に引き下げた。年0.001%の金利では、10万円を1年間預けても、1円しか利息がつかないことになる。

   こうした動きに他行も追随する見通しだが、ATMから預金を引き出すのに手数料(他行利用などで103円)を取られることを考えれば、タンス預金で十分だ。

金とプラチナではどちらが買いか

   金やプラチナ投資はどうか――。国内の金価格は、2015年1月23日につけた高値の1グラムあたり5298円から16年1月15日の4385円まで913円、17.2%下落していたが、日銀のマイナス金利の「サプライズ」で2月2日には4783円に上昇。また、プラチナ価格も15年1月の高値5193円から16年1月19日の3334円まで1859円、35.8%も値下がりしていたが、金相場と同様に2月2日には3748円まで押し上げた。

   とはいえ、まだ安値圏にある。金やプラチナは「買い」なのだろうか。金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は、「金投資のデメリットは『金利が付かないこと』です。しかし、(マイナス金利で)預金金利がほとんどなくなるわけですから、そのデメリットも関係なくなります。持っていてもいいとは思います」と話す。

   ちなみに、買うなら「プラチナよりは金」。プラチナは景気が悪くなると売られやすく、値下がりしやすいが、「金であれば、そう簡単には売られません」という。

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