2024年 5月 3日 (金)

「女児わいせつ誘拐」執行猶予判決に疑問続々 過去には、性格障害でも責任能力認める判例が

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   3歳の女児を車に連れ込んでわいせつ行為をした熊本県内在住の無職の男(43)について、熊本地裁は、男の障害を情状酌量して執行猶予付きの判決を下した。ネット上では、この判断に疑問や批判が相次いでいる。

「なんでも障害ですませないでください!!」「これでは性犯罪を助長するようなもの」「アメリカみたいに性犯罪者の住所とか個人情報を公開しろ」
  • 小児性愛は人格の偏りに過ぎない?(写真はイメージ)
    小児性愛は人格の偏りに過ぎない?(写真はイメージ)
  • 小児性愛は人格の偏りに過ぎない?(写真はイメージ)

自分の車に乗せ、体を触るなどわいせつな行為

   熊本地裁が2016年2月12日に下した判決の内容が報じられると、ネット上では、こんな怒りの声が次々に上がった。

   これまでの報道によると、女児は15年10月25日、母親らと一緒に熊本市内の商店街で行われたイベントを見に来ていた。被告の男は、母親が目を離したすきに、「ママの友達」だとウソを付いて女児に近づき、「一緒にママを捜そうか」と連れ出した。防犯カメラには、女児を抱きかかえる男の姿も映っていた。

   男は、そのまま駐車場に止めた自分の車に女児を乗せ、体を触るなどわいせつな行為をした。連れ去ってから30分後に女児は解放されたが、男はその後、熊本県警に逮捕され、わいせつ目的誘拐と強制わいせつの罪で起訴された。

   裁判では、男は、起訴事実を認め、弁護側は、「突発的な犯行で計画性や常習性はない」と情状酌量を求めた。一方、検察側は、「再犯の恐れが高く、刑事責任は非常に重い」として懲役5年を求刑していた。

   ところが、朝日新聞によると、熊本地裁は今回の判決で、簡易鑑定で精神的な障害があると診断され、「犯行に何らかの影響を与えた可能性を否定できない」と判断した。そして、男に懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。

   朝日の記事では、どんな障害なのかは書かれていなかったが、地元のテレビ熊本は、地裁が「小児性愛」だと述べたとし、「障害がないものと同様に重い責任や非難を加えることは難しい」と判決理由を説明したと報じている。

わいせつ誘拐事件については、実刑判決になるケースも

   ロリコンとも言われる「小児性愛」については、1988、89年にあった宮崎勤の連続幼女誘拐殺人事件をきっかけに、その扱いが広く議論されるようになった。

   2006年の最高裁判決では、性格の偏りを示す小児性愛という人格障害はあるものの、統合失調症などの精神障害は認められないとして、被告の完全責任能力を認めた。これで死刑が確定し、08年に執行されている。

   熊本市内で11年に起きた3歳女児の殺害事件でも、小児性愛は人格の偏りに過ぎず、責任能力はあるとの判断を福岡高裁が示し、求刑通りの無期懲役判決を支持した。弁護側は無罪を求めたが、上告も棄却されて13年に判決が確定している。

   わいせつ誘拐事件については、障害が量刑の争点にならなければ、執行猶予は付かず実刑判決になるケースがみられる。

   熊本県内では、道案内を口実に女子高生を車に連れ込んで乱暴したとして、熊本地裁が03年に元県立高校教諭に対して懲役3年(求刑は5年)の判決を言い渡した。また、知り合いの女子中学生を温泉の家族風呂に連れ込んだが暴行未遂に終わった事件では、06年に無職男に対して懲役3年6月(求刑は4年6月)の判決を下している。いずれも、今回とは別の裁判長だった。

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