2024年 5月 3日 (金)

シャラポワ「禁止薬物と知らなかった」 「うっかりドーピング」重すぎる代償

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「間違って飲んだ薬」で2年間資格停止

   団体競技のサッカーの場合はチームにドクターが帯同しており、選手は自分が服用する薬が違反か否かを確認しやすい。一方、テニスは個人競技だ。だが石井氏は、シャラポワ選手のようにトップレベルにあれば優れたドクターのサポートを受けていないとは考えにくいと指摘する。たとえ本人は「メルドニウム」が新たに禁止薬物に指定された事実を見逃していたとしても、ドクターを含む周りのスタッフまで気づかなかったのだろうかと首をかしげた。WADAは毎年、禁止薬物リストを更新している。敏感になって当然のはずだが、本人も含め関係者全員が油断しきっていたのだろうか。

   一方で、「うっかりドーピング」がしばしば起きているのも事実だ。JADAのウェブサイトには、ドーピング陽性反応による過去の処分に関する事例が掲載されている。

   例えばあるボディービル競技者が胃の不調を訴え、トレーナーが薬箱の中の薬剤を飲むよう指示したところ、本人が誤って禁止薬物の入った別の薬を飲んでしまい違反となった。選手本人は「青天の霹靂(へきれき)」だっただろうが、2年間の資格停止処分が下された。

   また外国籍の陸上選手が薬局で、禁止薬物が入っていない風邪薬が欲しいと窓口で求めたが、結果的に購入を勧められた薬には禁止薬物が含まれており、ドーピング検査で「クロ」と判定、8か月の出場停止処分となった。ほかにも、コーチに勧められて受診した医師から貧血の治療として注射を打たれた際に、やはり禁止薬物が入っていたため2年間の資格停止となったマラソン選手もいる。本人は陽性反応が出るまで、禁止薬物が体の中に入っている事実を認識していなかった。

   中には、禁止薬物を使わないと病気の治療ができない選手もいるだろう。その場合、選手は「治療使用特例」(TUE)を申請できる。原則としてJADAのTUE委員会に直接申請し、認められれば例外的に使用できる。もちろん「治療をする上で、使用しないと健康に重大な影響を及ぼすことが予想される」「他に代えられる合理的な治療方法がない」といった条件を満たさなければならない。

   故意のドーピングは論外だが、「うっかり」であっても選手生命に致命的なダメージを与える。シャラポワ選手も、高い代償を払うことになりそうだ。

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