ホワイトデー都市伝説に白黒つけよう 「マシュマロのお返しは『嫌い』の意」説に「本家」が反論

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   ホワイトデーにマシュマロを渡すと「あなたが嫌い」という意味になってしまう――。ネット上でおなじみのこんな「定説」に、ホワイトデー発祥の店のひとつとされる和菓子店が「反論」し、注目を集めている。

   2016年3月12日付の西日本新聞朝刊に「嫌だなあ。3月14日に『嫌い』なんて。」と題した新聞広告が掲載された。広告主は、福岡・博多の老舗和菓子店「石村萬盛堂」。そこには次のように書かれている。

  • 「ホワイトデーの元祖」が出した新聞広告が話題に
    「ホワイトデーの元祖」が出した新聞広告が話題に
  • 「ホワイトデーの元祖」が出した新聞広告が話題に

「顔も知らない誰かに、真逆の意味で紹介されている」

――「ホワイトデー」でネット検索してみると、思わぬ情報にヒットする。
お返しの定番「マシュマロ」には、「あなたが嫌い」という意味がある。と、いうものだ。
斬新すぎる。
バレンタインにもらったチョコレートを、僕のやさしさ、つまりマシュマロで包んで返すよ。という意味を込めて、世に送り出されたはずのホワイトデーが、顔も知らない誰かに、真逆の意味で紹介されている。
どうやら「君の気持ちには応えられないから、やさしさで包んで、そのままお返しするよ」と、解釈されているらしい。
嫌いな相手に、嫌いだと伝えるための贈り物が存在する世界など嫌だ。
どんな好意も、悪意になり得るネットの世界は、かくも真意がブレやすい。
ホワイトデーに限らず、遠くの見知らぬ人に振り回されるより、どうか目の前の人と、日々笑顔でお過ごしくださいませ。
38年前、石村萬盛堂で生まれたホワイトデーが、今年も心と心をやわらかく包み込みますように。――

   確かにネット上では「マシュマロ=嫌い」と解説しているサイトがいくつも見つかる。たいていの場合、キャンディーは「本命」、マカロンは「特別な人」、クッキーは「友達」とそれぞれ説明されている。

   広告が掲載された西日本新聞は、福岡県を中心とする九州のブロック紙だが、あるツイッターユーザーが同日に画像を投稿したことで、ネット上で大きな話題になった。元のツイートは、14日17時の時点で3万回近くリツイートされている。

「『ホワイトデーの元祖』として本当の意味を」

   石村萬盛堂の広報担当者は14日、J-CASTニュースの取材に「ネット上の反響が大きくて驚いています」と話し、次のように続けた。

「(広告で)書かれている内容は、実は私自身が2~3年前から思っていたことなんです。『ホワイトデーの元祖』としても、本当の意味を知っていただきたいと思い、今回の広告をつくりました」

   同店がホワイトデーの元となる企画をスタートしたのは1978年のこと。きっかけは、現在の社長が「男性からバレンタインデーのお返しがないのは不公平。ハンカチやキャンディー、せめてマシュマロでも...」という少女雑誌の記事に目をとめたことだったという。

   マシュマロ生地で黄身あんをくるんだ銘菓「鶴乃子」を明治時代から販売していた同店は、「バレンタインに君からもらったチョコレートを、僕のやさしさ(マシュマロ)で包んでお返しするよ」とのコンセプトを立て、マシュマロでチョコレートをくるんだ商品を売り出すことに。地元百貨店との相談の末に3月14日を「マシュマロデー」と定めた。

   数年後にはマシュマロの白を想起させる「ホワイトデー」に名称を変更。これが功を奏し、菓子業界以外をも巻き込む今日の国民的催事となったそうだ。

   ちなみに、ホワイトデーにあわせた新聞広告は2012年から出しているという。

「きっかけは東日本大震災でした。社長が持ってきたとある新聞記事に『震災で行方不明になった夫の荷物から、ホワイトデー用に用意してくれていたネックレスが出てきて、とても大切にしている』とのエピソードがあったんです。3月14日は『3.11』からわずか3日後とあり、当時、社内では『ホワイトデーどころではない』という雰囲気でしたが、『絆を認識する日になれば』との思いから、広告を出すことを決めました」(広報担当者)

   今回の異例の反響については「これでマシュマロの売り上げが伸びるというわけではないのですが」と笑いつつ、「身近な人たちに『ありがとう』を伝える機会としてホワイトデーが盛り上がれば、と思います」とコメントした。

「元祖」は諸説あり

   「ホワイトデーの元祖」については諸説ある。

   2005年2月2日付の日本食糧新聞によると、1968年から69年にかけ、中小菓子メーカーは「バレンタインデーのお返しに菓子を」とPRしていた。不二家はこれを「リターン・バレンタイン」と名付けてキャンディーとマシュマロを売り込んだ。73年にはマシュマロメーカーのエイワと協力し、3月14日を売り出し日にしたという。同紙では、これがホワイトデーの由来だと解説している。

   全国飴菓子工業協同組合の公式サイトには、78年の総会で「全飴協ホワイトデー委員会」が組織され、80年3月14日に第1回ホワイトデーが世に生まれ出た――との説明がある。

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