民主党と維新の党の合流後の党名は、世論調査の結果、維新が提案していた「民進党」で落ち着くことになった。民主党がこだわっていた「民主」の文言を残すことはかなわないことになり、いよいよ窮地に立たされているのが民主党の「公認」だったゆるキャラ「民主くん」だ。党名決定が報じられた直後は「文字を付け足せば『民主くん』は『民進くん』になれます!」などと冗談を飛ばす余裕もあったが、時間が経つにつれて「ほんとどうなるんですかね?」と、その余裕もなくなりつつある。「緊急対策本部を立ち上げ、今後の対応について協議」2016年3月12、13日に両党が別々に行った世論調査では、いずれも「民進党」が、民主党が提案した「立憲民主党」よりも多くの支持を得た。民主党支持者も「民進党」を支持した人が多く、「民主」という単語の不人気ぶりを裏付けた。このことで、最後まで「民主」を残すことにこだわっていた民主党の岡田代表も「民進党」を受け入れざるを得なくなった。去就が注目されていた「民主くん」は圧倒的に不利になることもあり、党名が決まってからの反応は早かった。3月14日夕方には、「ただ今、緊急対策本部を立ち上げ、今後の対応について協議いたしました」と反応した。この時点では冗談を飛ばす余裕があったようで、ツイートでは、「大発見!文字を付け足せば『民主くん』は『民進くん』になれます!」と動画つきで「珍発見」を披露。漢字の「主」の部分に縦棒と横棒などを書き加え、部首の「しんにょう」を加えれば「進」に見える、というわけだ。それ以外にも、ツイッター利用者から「ネコ耳をつけるんだ!」という声がかかると、四次元ポケットのようなものを書いた紙を胸に張り付けて「ねこ耳をつけたら準備完了!テレビ朝日さんで働けますかね??」と返信。どうやら、ドラえもんとしての転職も模索しているようだ。台湾の民進党は「民主進歩党」の略称自民党への「移籍話」もあった。3月11日夜には自民党の平将明衆院議員が「民主党をリストラされそうな民主くんを自民党で引き取って、『自由』の鉢巻つけていただいて、自由民主くんに生まれ変わって、充実した第二の人生を送ってもらおう」とツイートしたが、民主くんは3月14日朝になって「身に過ぎて光栄なことですが申し訳ございません・・・」と丁重に断った。だが、党名決定から1夜明けた3月15日には、焦りの色が色濃くにじむようになった。民主くんの容姿は民主党のロゴをモチーフにしているが、今の民主党のロゴがそのまま使われるとは考えにくく、「ライザップか高須クリニックのお世話になるしかありませんね」と悲観的で、「ほんとどうなるんですかね??どなたが面白いオチをつけてくれるのでしょうか?」と困惑を隠せない様子だった。総じて岡田代表は民主くんの存続には否定的だ。党名を公募する直前の3月3日の時点で、岡田代表は「シェイプアップして新しいマークに強引にするという話もあるが、なかなか難しいかなという感じはする」「やはりハローワークを紹介して、ちゃんと職業訓練のための手当てもして、新たな働く場を見つけてもらいたいと思っている。そのための職業訓練、党としてしっかり世話したいと思う」などと転身を勧めている。維新の党の松野頼久代表は「ある意味最大の功労者ですからね、最高顧問か何かで処遇する必要があるのかなぁ、と思います」などと比較的歓迎姿勢だが、岡田氏は「最高顧問になったって、それで飯が食えるわけではありませんから」と切り捨てていた。そもそも「民進党」は台湾の最大野党と同じ名称だ。台湾の民進党は次期政権を担うことになっており、新党名決定について報道官が「同じ名前の政党が増え、親近感を覚える。祝意を表する」とコメントを出した。ただ、日台ともに「党名が『かぶっている』」といった指摘が出ているのも事実だ。この点については、維新から「党名検討チーム」に参加していた柿沢未途衆院議員が3月11日夜、フェイスブックで「蔡英文女史を総統に見事当選させ、どん底から再度の政権交代を果たした台湾の民進党の後に続きたいという気持ちはない訳ではないが、台湾の民進党は正式名称は『民主進歩党』(DemocraticProgressiveParty)であり、『民進党』はその略称。英語名を含め、完全に同じ名称ではない」と説明している。
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