2024年 4月 29日 (月)

「猫の砂風呂」写真は「虐待」か 熱い議論のあとの「ほっとする結論」

   UAE(アラブ首長国連邦)の砂漠で、夫と約200匹の動物と暮らす美奈子アルケトビさんのツイッターをアカウント休止に追い込んだとして、ツイッター社に対し激しい抗議の声がネットで上がった。

   それは砂漠で猫を「砂風呂」に入れて遊ぶ写真と動画をツイッターにアップしたところ、ツイッター社から「不適な内容を含む可能性がある」「調査した結果の判断」と指摘された。以降、美奈子さんのツイッターを開く度に警告表示が出続けることになった。「動物虐待」ということなのだろうが、こうした「遊び」は度々行われていて、映像を見る限り猫もかなり気持ちよさそうだ、と受け止めた人が多かったようで、ネット上では「調査したなら分かるだろ!」といった批判の声が挙がった。

  • 「感謝の気持ちでいっぱいです」(写真は美奈子さんのツイッター「はなもも」のスクリーンショット)
    「感謝の気持ちでいっぱいです」(写真は美奈子さんのツイッター「はなもも」のスクリーンショット)
  • 「感謝の気持ちでいっぱいです」(写真は美奈子さんのツイッター「はなもも」のスクリーンショット)

猫が生き埋めにされていると通報された動画

   美奈子さんは25歳の頃にアメリカに語学留学したときに、UAE人の夫と学校で知り合い国際結婚をした。UAEでは夫が砂漠に作った家に住み、本人は動物を飼う気は無かったが、夫や友人が連れて来たり、迷い込んできたりしたため、ガゼルやラクダ、ハト、ウサギ、ウマ、ネコ、イヌなど200匹に増えていった。砂漠に柵で東京ドーム約1個分の囲いをつくり、その中で飼育したり、遊ばせているという。

   その様子を写真と動画でツイッターにアップしたところ「癒される」「感動する」と話題になり大人気に。特に猫の写真や動画への注目が高かった。こうしたことから、14年10月に幻冬舎から美奈子さんが撮影した動物たちの写真集「砂漠のわが家」が出版される事になる。

   そんな美奈子さんは11年3月から「はなもも」の名前でツイッターを始めているが、ツイッター社から「不適切画像の可能性がある」という警告を2016年6月29日に出されてしまった。以降は、美奈子さんのツイッターを開く度に警告表示が出続けることになってしまった。

   ツイッター社が一番問題視したのは前日にアップした「新種の砂漠のヘビ」という動画で、動画ではまず、細長い毛のようなものが砂漠の砂の中から出ている様子が登場した。その細長い毛のようなものはウネウネと動いていて、カメラの視点が移動すると、それは猫のしっぽであり、気持ちよさそうに横たわっている猫の顏が最後に登場するというドッキリ映像のようなものだった。猫のお尻から首に掛けては砂が盛ってあるため、最後まで見なければ猫が生き埋めにされていると勘違いする人もいるかもしれないが、美奈子さんのツイッターを知っている人からすれば、カラクリは初めから分かっていた。

「冤罪ナノダー!と叫びたい」

   猫は砂漠の砂が大好きで、走ったり体を擦りつけたりして楽しんでいる。「砂風呂」も大好きで、美奈子さんや夫が「砂風呂」を作るために砂を掘っていると、近くで待ち遠しげに待っていて、穴ができるとさっそくそこに横たわり砂を掛けてもらうのを待っている、「砂風呂」に入った猫たちは夢見心地の表情になる――そんな動画が過去にもアップされている。

   美奈子さんは警告に対しツイッターで6月29日にこんなことをつぶやいた。自分のツイッターを見る人の中には、内容をよく見ずに「かわいそう」などという人がいて嫌な気分になる事はあるが、

「今回の件は、気にするしないではなく、理不尽な理由で罰せられて不便きたしてても手の打ちようがなく。冤罪ナノダー!と叫びたい」

と怒りを露わにした。そして7月2日、

「どこかでまたー。」

とアカウントの休止を決めた。というのも、ツイッター社からブラックリストに入れたという連絡があり、再度不適切な画像が出たとの報告があればさらに厳しい処分が待っている。「冤罪」がまた起こる可能性もあるためこれ以上は続けられない、というのが理由だった。

Twitter社から「この度はご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした」

   これに対し、ツイッター内では「やめないでー!」といった悲鳴が上がり、ツイッター社に抗議しようといった呼びかけも起こり、

「ちょ、え??なんでそんな事に?酷すぎるツイッター社」
「ほんとにひどくて泣けてくる。どんな調査したん!」
「Twitter社の連中は揃いも揃って脳味噌に砂でも詰まっとんのか」
「Twitter社は今からでもはなももさんに謝罪を」

などとツイッター社への批判が大量に出る事になった。そして急転直下、フォロワーたちの抗議の声が届いたからなのか、ツイッター社は美奈子さんに謝罪する。それは美奈子さんが3日にツイッターで明かしたもので、公開した謝罪文には、「不適な内容を含む可能性がある」という表示を解除した、とし、

「この度はご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。重ねてお詫びするとともに今後ともTwitterをお楽しみいただけますと幸いです」

と平謝りだった。美奈子さんは、

「沢山の方がご尽力くださり、こういうことになりました。感謝の気持ちでいっぱいです」

とツイートし、継続していく事を発表した。こうした一連のゴタゴタについてネット上では、

「ツイッター側にしたってこれを虐待だとは思わないだろうけど、これを『虐待だ』て通報してくる悪意や基地外に対して対処するのは楽じゃないでしょ。そんな責めてやるなよ」
「この問題のキモは『当の猫がどう感じているか』よりも『どこの誰とも知れない匿名が』『異議を挟み込む余地も与えず』『いちアカウントを追い詰めることが出来る』システムのほうなのでは」

などといった感想が出ている。

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