インターネット通販大手のアマゾンジャパンが、「東京ファッション・ウイーク」の新しい冠スポンサーに就いた。東京ファッション・ウイークは、2016年10月(17年春夏コレクション)で12年目、23回目を迎える。毎回5万人以上の来場者を誇り、最近はミラノやパリ、ニューヨーク、ロンドンといった最先端のファッション・ウイークにも引けをとらない、世界規模のファッションの祭典に成長してきた。日本のファッション・デザイナーらの育成に貢献アマゾンジャパンと、東京ファッション・ウイークを主催する日本ファッション・ウイーク推進機構(JFWO)は、東京ファッション・ウイークの冠スポンサーが「AmazonFashion」に決定したと、2016年7月21日に発表した。10月に開催予定の第23回東京ファッション・ウイークから、「AmazonFashionWeekTOKYO」(AFWT)として、新たにスタートする。冠スポンサーの契約金額や具体的な内容は明らかにしていないが、アマゾンジャパンは「複数年にわたってパートナーシップを組みます」と話している。今回のスポンサー契約について、アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は「当社にとって、ファッションは急成長分野の一つ」であることを強調。「『東京ファッション・ウイーク』の冠スポンサーとして、JFWOと協業できることを大変うれしく思っています。今後、アマゾンがファッション業界を継続的にサポートしていくことを示していきたい」とコメントした。米アマゾンでは、2012年にニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されるファッションの祭典「MetGala」の協賛にはじまり、15年からは「メンズ・ニューヨーク・ファッション・ウィーク」のスポンサーを務めているほか、ファッションを志す学生をサポートする「AmazonFashionStudioSessions」を開始。さらに、ニューヨークとロンドンに2つのフォトスタジオを開設して若手デザイナーの育成支援に貢献している。アマゾンジャパンのスポンサー契約も、こうした世界戦略の一環とみられる。ベンツは2011年秋からAmazonFashionバイスプレジデントのジェームズ・ピータース氏は、「東京ファッション・ウイークの冠スポンサーとして、日本に基盤を置くデザイナーたちのコレクションを披露する場をサポートしていけることを楽しみにしています」と、意気込みを語った。これまで、「東京ファッション・ウイーク」の冠スポンサーを務めてきたのはメルセデス・ベンツ日本。日本ファッション・ウイーク推進機構(JFWO)は、2016~17年秋冬シーズン(16年3月14日~3月19日開催の『Mercedes-BenzFashionWeekTOKYO2016A/W』)をもって、冠スポンサー契約を終了した。メルセデス・ベンツは、2011年10月に初めて冠スポンサーとなり、16年3月までの約5年間にわたり、東京ファッション・ウイークの華やかなイメージを発信してきた。とはいえ、ファッション・イベントとしての知名度、認知度は上昇したものの、具体的な販売などにはつながりにくかったとみられる。ファッションとの親和性JFWOの三宅正彦理事長は、「アマゾンはe‐コマース上の取引だけでなく、ファッション業界のためのチャネルとして存在を強めています。今後、アマゾンとJFWOとのコラボレーションは、『東京ファッション・ウイーク』の素晴らしい未来を約束してくれるものと確信しています」と語る。アマゾンはECとしてファッションとの親和性が高い。アマゾンのもつECプラットフォームを活用することで、日本のデザイナーの認知度を国内外で高めることができたり、消費者とファッションブランドが直接つながる機会が広がったりする。アマゾンにとっては、「東京ファッション・ウイーク」の冠スポンサーを務めることで、AmazonFashionの知名度アップや利用促進が見込める。経済産業省の「日本ファッション産業の海外展開戦略に関する調査」(2014年7月16日公表)によると、日本のファッションEC市場は2013年の1.4兆円(全体の規模に対するEC構成比は8%)から、2020年には13年と比べて85.7%増の2.6兆円(同14%)まで拡大する見通し。まだまだ高い成長力をもっているようだ。
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