元日弁連会長の宇都宮健児氏(69)の東京都知事選(2016年7月31日投開票)をめぐる対応で、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)氏の陣営に落胆が広がっている。鳥越氏側の応援要請を、宇都宮氏が週刊誌報道を理由に事実上断ったからだ。鳥越氏を支持する民進党の議員からは、「実はなかなか立派」という宇都宮氏の評価を「思い違いだったみたいだ」と覆したり、「最終盤で必ず鳥越俊太郎さんの応援に立つと信じていた」といった失望を表すツイートも相次ぎ、事実上の決別状態になっている。週刊誌報道を理由に「応援」を断る宇都宮氏のウェブサイトに7月27日に掲載された文章には「私たちのもとに、電話やメールなどという形で、『鳥越候補の支援に入ってほしい』(あるいは『入るべきではない』)といったさまざまな声が多く寄せられています」とあり、鳥越氏の支援者から協力を求める声が多かったことが分かる。この日、鳥越氏の陣営は初めて宇都宮氏の陣営に公式に応援要請をしている。翌7月28日夜、宇都宮氏は「女性の人権にかかわる問題についての対応という点で、残念ながら一致にいたっていません」とツイート。鳥越氏をめぐる週刊誌報道を理由に事実上支援を断った。民進党議員からは反発が相次いだ。木内孝胤(たかたね)衆院議員は、ツイッターで7月28日夜、「宇都宮健児氏は都知事選挙に出馬しかけた状況で候補を取りやめるという苦渋の決断をして実はなかなか立派な方なのだと好き嫌いは別にして思ったが思い違いだったみたいだ」「今日だけでも、今回の投票は棄権か白票でもいい?と聞かれてしまった...。どうぞとは言えなかったが...」と、宇都宮氏に対する失望感をにじませた。有田芳生参院議員は、「すぐれた弁護士かつ政治家の宇都宮健児さんは、最終盤で必ず鳥越俊太郎さんの応援に立つと信じていた。サンダースが大義に立ちクリントンを支援したようにである。だが応援するには週刊誌報道について会見を開き謝罪することを条件にしたと情報が流れている。宇都宮さんは事実を明らかにしてほしい」などと迫り、宇都宮氏の判断を疑問視する声を次々にリツイート(転送)した。フリージャーナリストも「応援」を説得29日発行(30日付)の日刊ゲンダイでは、「なぜ鳥越の応援をしないのですか?」と題した記事を掲載。記事では、一貫して政府・与党に批判的なフリージャーナリストの横田一(はじめ)氏が、電話取材で宇都宮氏に質問する体裁で「かなり鳥越さんが厳しい情勢なので、宇都宮さんが街宣車に乗って『政策は鳥越さんが最も近い』という話をするだけで、全然違うと思うのですが」などと事実上の応援の説得を試みているが、宇都宮氏は「女性人権問題(週刊誌報道)がなければ、街宣車に立って応援演説をしていたでしょう」と話したという。宇都宮氏に対しては、鳥越陣営から様々な動きがあったようで、7月24日頃には、野党支援者とみられる人物が、「弁護士事務所も選対も罵詈雑言のFAXの嵐」とツイートすると、これが一気に拡散した。弁護士事務所も「選対」も宇都宮氏の拠点を指しており、罵詈雑言の中には、「応援に来い、こないとあなたが悪い」といった内容もあったという。すでに、この時点で、鳥越支援者と宇都宮氏側との関係は良好とは言えなかった可能性がある。
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