2024年 4月 24日 (水)

iPhoneニューモデルで新たな競争 液晶パネル「JDI」社の勝算

   中小型液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)の資金繰りが悪化している。主力のスマートフォン向け液晶パネルの需要が急減した上、新設した工場の設備費支払いなどが重なったからだ。

   「全面的に支援していくとのコメントを得ている。どうか資金繰りについては安心してほしい」。JDIの本間充会長は2016年8月9日に開いた4~6月期決算会見で、そう強調した。資金繰りに窮したJDIは8月初旬に筆頭株主の政府系ファンド、産業革新機構に数百億円規模の金融支援を要請。決算会見で全面的な支援の確約を得たことを明らかにし、市場を安心させようとした。

  • JDIは「iPhone」人気で受注を拡大してきた(画像はイメージ)
    JDIは「iPhone」人気で受注を拡大してきた(画像はイメージ)
  • JDIは「iPhone」人気で受注を拡大してきた(画像はイメージ)

スマホ依存の事業構造の弱さが浮き彫り

   JDIは、日立製作所と東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合して2012年4月、発足した。統合を主導したのが革新機構で、この分野での世界トップ企業。米アップルが主要顧客であり、「iPhone(アイフォーン)」人気を背景に受注を拡大させてきた。今では売上高のほぼ半分をアップルが占めている。

   しかし、韓国、中国勢の台頭で液晶パネルの販売価格は低下しており、JDIは「2016年1~3月期に始まったスマホ市場の需要急減に加え、在庫の増加、設備の支払いが重なって一時的に資金繰りが逼迫した」(本間会長)という。銀行から短期の借り入れを繰り返すなどして乗り切ったが、スマホに依存する事業構造の弱さが浮き彫りとなった。

   こうした事業環境の変化からJDIの業績も悪化。2016年4~6月期は売上高が前年同期比29.2%減の1743億円、本業のもうけを示す営業損益は前年同期の22億円の黒字から34億円の赤字に転落し、純損益も117億円の赤字だった。

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