飲食店口コミサイトの「巨人」ともいえる「食べログ」。場所やジャンルごとの「点数ランキング」を参考に、店を選ぶ人も多いだろう。高得点をたたき出した人気店に行列ができる光景は、日本中のあちこちで見かけるようになった。しかし、その肝心の点数は食べログ独自のアルゴリズムに基づいて決められるが、そのアルゴリズムは公開されておらず、一部の飲食店関係者がネット上で「異議」を唱える事態となっている。点数が急に下がった後に、ネット予約導入の営業が...東京都内や京都市でワインバル「ウルトラチョップ」を営む高岳史典さんは16年9月6日、「ウルトラチョップ全店の食べログスコアがいきなり3.0にリセット。そこに担当営業から連絡が来て『食べログのネット予約を使ってもらわないと検索の優先順位を落とします』と。仮にも飲食業界でビジネスするのならばもう少しお客様やお店や業界全体に資する気概はないのかねぇ...(苦笑)」とツイート。これが大きな反響を集め、食べログ側に疑問の声が殺到した。J-CASTニュースが9月8日に食べログを運営するカカクコムの広報室へ取材したところ、食べログには一般ユーザーと別に、飲食店向けの有料サービスも設けられている。写真を充実させたり、メニューや店舗の紹介文を掲載したり、ネットでの予約システムを導入したりして、食べログというプラットフォームで自店をPRする仕組みだ。「標準検索結果」は、ユーザーが飲食店を検索し、利用したときの口コミや点数を総合して、独自のアルゴリズムで点数(スコア)をつける。点数ランキングを基準に検索することもできるが、通常の標準検索結果の順番は点数のランキングとは無関係で、飲食店向け有料サービスでは、この順位を上げることができる。さらに、10月からは、ネット予約機能の導入店舗を標準検索結果の上位に優先表示させることも決めた(9月7日に発表)。高岳さんに「担当営業」が伝えた「ネット予約を使ってもらわないと検索の優先順位を落とします」というアドバイスは、今回の新しい制度のことを指しているようだ。しかし、食べログ側の営業活動と点数は関係なく、勝手に「リセット」されることはないはずだ。高岳さんは9月8日、J-CASTニュースの取材に対し「麻布十番店で3.27、神楽坂店と京都先斗町店で3.1と少し、恵比寿店で3.0ちょっとあった点数が9月6日、なぜか全店が同じ3.0に『リセット』されました。口コミの数は変わっていないのに、です」とこの間の経緯を説明した。点数をはじき出すアルゴリズムは「非公開」点数が下がった後、高岳さんと食べログ側の間にちょっとしたトラブルが起こったという。「ちょうど、あと数日で契約更新、というタイミングでした。『予約サービスを導入しなければ検索の優先順位が下がります』と言われたのです。うちは(食べログとは別の会社の飲食店予約サービスの)トレタを使っています。それを知ったうえで、契約更新直前に自社サービスを勧めるのはどうなのかと思い、有料会員契約を打ち切りました」高岳さんはこう説明したうえで、「店の点数の『リセット』も偶然なのか必然なのかわかりません。ただ、こんなことで飲食店が惑わされるのは残念です。食べログさんも大きなプラットフォームなのですから、皆で飲食業界を良くしていこうという気持ちを持って欲しいです」と語る。東京都杉並区にある「CURRYBARシューベル」の店主も「口コミの数は変わっていないのに、6月に3.45、7月に3.35、8月に3.29、9月に3.20と3か月連続で下がっています」と取材に明かす。店主は無料会員だが、「食べログからの営業電話はオープンした2年半前より現在まで月に数回あり、有料契約をする気が無いので毎度早々とお断りしています。ただ、ネット予約のサービスを断って以降、急に毎月点数が下がるようになりました」と説明する。「少数口コミのレビューは軽視され逆に口コミが何百、何千とあるレビュアー方々の影響力が大き過ぎる食べログのアルゴリズムが不信感を与えている要因だと思います。有料契約をすることでページへのアクセス数が上がり、アクセス数が増えることで点数が上がりやすくなるアルゴリズムなのでは?と感じております」食べログの点数をはじき出すアルゴリズムは「非公開」のため、急に「リセット」されたり、下がったりする仕組みが分からないことが、飲食店側の疑心暗鬼を生んでいるのも事実だ。こうした指摘に対し、カカクコムはJ-CASTニュースの取材に対し、「店舗向け集客サービスの契約有無やその内容などを理由に、スコアを変更するような事実は一切ございません。また、そのような営業活動を行っている事実も一切ございません」と話している。
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