幸楽苑、混入異物を「指先」と認める 本社、店が届けた「現物」を確認せず

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   ラーメンチェーン大手「幸楽苑」の「お子様セット」のラーメンに異物が混入した問題で、幸楽苑ホールディングスはこれを「爪」だったとしていたが、2016年10月17日、大手メディアが報じていたように「指の先端」であることを認め謝罪した。

   どうしてラーメンに切断した女性従業員の指が混入し、なぜそれを「爪」と説明したのか。

  • 「人の指の混入」を認める(写真は幸楽苑ホールディングスのHPのスクリーンショット)
    「人の指の混入」を認める(写真は幸楽苑ホールディングスのHPのスクリーンショット)
  • 「人の指の混入」を認める(写真は幸楽苑ホールディングスのHPのスクリーンショット)

2、3ミリの厚さだから「たいした事故ではない」

   今回の「事件」は、16年9月8日に静岡市内の店舗でパートの女性従業員がチャーシューを仕込んでいた際にスライサーで親指に怪我を負い、9月10日に提供した「お子様セット」に爪の付いた指先が混入していた、というもの。13日に静岡市保健所が「苦情があった」と調査に来て、店側は事実を認め始末書を出した。こうしたことが10月12日の朝日、読売、毎日のウェブ版で明らかになった。

   J-CASTニュースが16年10月13日に静岡市保健所に取材したところ、指は長さが約7~8ミリ、爪の幅が約1センチある「立方体」で、先の指紋がくっきり分かるような切れ方をしていたと明かした。しかし、この日に幸楽苑が出した謝罪文には指ではなく「爪」だと説明していた。

   J-CASTニュースの取材に同社は10月17日、真相をこう説明した。従業員が指を切った時に大騒ぎになり大量の出血はあったが、スライサーは2、3ミリの厚さに設定されているため「たいした事故ではない」と思った。そのため切れた指先を広範囲に探さなかった。直近に仕込んだチャーシューは処分したが、指先はそこから離れた場所に飛び、チャーシュー保管容器の一部に紛れ込んでしまった。しかも、仕込んでから24時間後に破棄する決まりになっているにもかかわらず、容器には仕込み時間を示すシールを貼り忘れたため、指先の入ったチャーシュー容器内のチャーシューを4日後に提供することになってしまったという。

   指先を見つけた母親は激怒し、店がこの母親の自宅に謝罪に行くことになった。そこで母親は混入した指先を持って来て謝罪するように指示し、母親はその指を持って保健所に届け出た。保健所は9月13日に店に調査に来て、店側は混入した事実を認め始末書を出し、保健所はその際、混入の事実をメディアに公開するようにと指導した。しかし「本社」は「爪」という認識だったため、保健所の「これは爪ではなく指だ」とする見解を受け入れなかった。

社内の情報共有の感覚・意識が不足

   どうしてこんなことになったのか。同社は10月17日の文書で、

「全社的に高い危機意識と危機対応に関する認識が不可欠でありますが、本部レベルでのリスク情報の把握・共有に関する感覚・意識ならびに衛生管理意識に関する認識が不足しておりました」

と回答している。つまり、本社と店の間の情報共有がなされず、本社側はスライサーで指先を2、3ミリ程度切断したとしても「皮」や「爪」が深く切れた程度と考え、店が持って行った実物を見ずに判断。保健所が発表した7、8ミリという数字も疑っていたという。同社広報は、

「切れた瞬間の形と、約4日間保存した後にラーメン中に入れられたものでは、大きさや形が変わってきます。確かにこれは指先だと言われたらそのとおりだと言わざるを得ません。全面的に当社は非を認め、現在は保健所さんと共同歩調で対策を進めている段階です」

とJ-CASTニュースに説明した。

   同社は謝罪のニュースリリースで、社内情報共有体制の見直しや、店長、幹部社員への危機管理教育の徹底をし再発防止を行うと発表した。また、16年9月8日から9月10日まで「幸楽苑 静岡清水インター店」で食事をしたお客に対し、代金を返品するとしている。

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